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ZOZOマリンの“マリン風”はロッテの追い風になるのか

 

高々と舞い上がった井上の打球はマリン風を味方につけた



 ZOZOマリン名物の“マリン風”。海沿いのバックスクリーン側から吹き下ろされる強風は時に風速15メートルを超え、バックネット裏ではね返った向かい風は投手の変化球を魔球へと変える。スコアボードの風速表示がもっとも注目される球場だろう。

 ロッテがマリン風を味方につけ、本拠地の利としたのが6月27日の楽天戦だ。1点を先制された1回裏、楽天の則本昂大から二死一、三塁と同点のチャンスをつかむと、五番・井上晴哉が遊撃後方に高々と打球を打ち上げた。

 万事休すと思われたが、打球は風に流され遊撃・茂木栄五郎と左翼・島内宏明の間にポトリ。一走の角中勝也も一気にホームを陥れ、逆転に成功。取りつ取られつのシーソーゲームを4対3で制する大きなきっかけとなった。

 この日は打撃練習が“強風のため”に室内練習場で行われるなど、やはり試合前から強風が吹き荒れていた。「ラッキーですね」と振り返った井上が、「でも角さん(角中)がよく走ってくれました」と言葉を続けたように、“何かが起こる”という心構えが角中の全力疾走を生んだことは間違いない。井口資仁監督も「うまく風を利用した。ホームですから」と納得顔だ。

 しかし、だからといってロッテの選手たちにとっては守りやすい球場かと言えば、決してそうではない。かつてのサブローのように「風を読むことができれば、普段捕れないような打球が捕れるから面白い」という天才肌もいたが、今季は中堅を主戦場とする荻野貴司の「ホームであっても守りにくい球場ではあります」という言葉が真実だろう。

「日によって(風が)変わるし、その状況に応じて違う。試合前練習で確認はしますけど、(練習時の)昼と(試合時の)夜ではまた風向きが変わったりするので。それに(風速表示の)数値と実際の感覚が違うなと感じるときもありますし」

 確かにホームと言えど、守りにくい。それは間違いないだろう。が、荻野の言葉はそのままマリンにおける外野守備のチェックポイントであり、ロッテの外野陣には、意識するまでもなくそのチェックポイントが感覚として刷り込まれている。

 であれば、やはりマリン風の存在は“ホームの利”と言えるものだし、“利”としなければならないものであるはずだ。ロッテがどれだけ風を利用し、どれだけ風に乗っていけるのか。いつだってマリンの風向きからは目が離せないのだ。

文=杉浦多夢 写真=高原由佳
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