投げ上げたバットの高さもそうだが、足の土煙もすごい
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は7月4日だ。
この試合の記事は「きょうも楽しいハチャメチャ野球」とある。2001年の近鉄は、勝った試合も負けた試合も強烈なインパクトがあった。
6月25日、東京ドームでの
日本ハム戦に勝利し、首位に立った近鉄。本拠地大阪ドームでの初めての“首位披露”が7月3、4日の
ロッテ戦だった。
まず3日、10勝6敗ながら防御率5.01だった“フラフラのエース”
前川勝彦が先発も3回で3失点KO。試合はそれでも7対3で勝利したのだが、翌4日の同カード、先発の
高村祐が突然の故障で交代すると、
梨田昌孝監督は、その前川に当時でも珍しい先発翌日の連投指令。二番手で1イニングを投げさせた。
試合は各チーム次々選手交代する総力戦となった。1対1で迎えた10回表の近鉄は、七番手の
石毛博史が3四球で無死満塁のピンチを招いたが、代わった八番手の
盛田幸妃がファウルフライ、併殺と2球で抑えた。
その裏、戦いを締めのは、やはりこの男、
中村紀洋の一発だった。10回裏、先頭打者として打席に立つと、ロッテのクローザー、
小林雅英に初めて土をつけるサヨナラ27号をレフトスタンドに投げ込んだ(2対1)。
「盛田さんが抑えたところで絶対勝たなくてはと思って打席に入りました。今年の近鉄は何かが起こる」と中村は満面の笑顔。
以後も劇的な試合を繰り返し、近鉄は最後の優勝を飾る。
写真=BBM