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林昌範コラム

林昌範が驚いた日本ハム・宮西の高いプロ意識とは?/林昌範コラム

 

2年目で自分のフォーム修正法を見つけられる選手はなかなかいない


6月30日のオリックス戦で600試合登板、273ホールドを記録した宮西(写真=高原由佳)


 日本ハム宮西尚生投手が6月30日のオリックス戦(札幌ドーム)で史上40人目の600試合登板を達成し、歴代1位タイの273ホールドを達成しました。僕は日本ハムで2009年から3年間、同じ左の救援という立場で一緒にプレーしていましたが、すごいという言葉以外、見当たらない大記録です。宮西投手は新人の08年から昨年まで10年連続50試合以上登板しています。マウンドに当たり前のように立ち、結果を出し続けている。特にすごいと思うのが彼のマウンド上の姿です。

 今年でプロ11年目。年齢もあり、球速が多少落ちてきたとき、新しい変化球を覚えたりするなど細かな部分は変化しましたが、投球スタイルは新人の時からまったく変えていないと思います。打者に対して強気に攻める姿勢、どれだけ疲れていてもマウンドに立てば全力で「腕を振れる」体に仕上げている。「腕を振れる」というと簡単な言葉になってしまうのですが、これが投手の感覚では非常に難しい事なのです。

 例えば移動試合のとき、朝から新幹線や飛行機に乗って球場に向かいます。早朝の移動で寝てしまうと体がだるい。球場に着いて体を動かしてもキレがなかなか戻りません。前日に登板していると肩の張りも残っている。そんな状態でも彼はあることをすごく意識していたなと思います。

 それは、「キャッチボール」です。もちろん、プロの選手はみんなそれぞれ意識をしながらやっていますが、彼は意識が非常に高かったです。2年目のときから体が開かないように意識付けるキャッチボールをオリジナルに考えてやっていました。2年目で自分のフォームの修正方法を見つけられる選手はなかなかいません。才能だけでなく飽くなき向上心で地道に努力を重ねる。中日岩瀬仁紀投手、巨人山口鉄也投手もそうですが、救援で長年活躍し続けている選手には尊敬の念しかありません。

 今年も投球内容が安定しています。日本ハムが首位争いを繰り広げられている一因として、宮西投手の頑張りもあると思います。ケガだけに気をつけて、次は300ホールドという誰も成し遂げていない記録を目指して頑張ってほしいです。

記事提供=ココカラネクスト編集部 平尾類
ココカラネクスト編集部

DeNA林昌範氏(写真=ココカラネクスト編集部)


●林昌範(はやし・まさのり)
1983年9月19日、千葉県船橋市生まれの34歳。市立船橋高から2002年ドラフト7巡目で巨人入団。06年には自身最多の62試合に登板するなど主に救援で活躍。08年オフにトレードで日本ハムへ移籍した。11年に退団し、12年からDeNAに加入。昨オフに戦力外通告を受けて現役引退した。通算成績は421試合で22勝26敗22セーブ99ホールド、防御率3.49。186センチ、80キロ。左投左打。家族はフリーアナウンサーの京子夫人と1男1女。
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