今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 阪神・小山正明はどこに行く?
今回は『1963年1月28日号』。定価は40円だ。
阪神キラーと呼ばれた国鉄の
北川芳男獲得で、補強は一段落と言われた巨人だが、ここに来て阪神・
小山正明を狙っている、というウワサが出てきた。
小山は5回の交渉を重ねながら1月15日時点でいまだ契約していない。その小山を狙っていたのが、大毎で阪神にいた青木一三が陰で動いていた。
巨人関係者は「いまウチが小山と交渉したら協約違反になる。巨人がそのような動きをすることはありません」と言っていた。
記事を読むと、巨人は国鉄・
金田正一が13年選手(この区切りもあった)でもめたら獲得に動く、という話もあったらしい。
要は巨人は球界の盟主として、ルール違反してまで選手獲得には動かない、ただ、契約がもめてフリーになったら別、ということのようだ。江川事件以後の歴史を知っているだけに、やや複雑な気持ちもある(別所引き抜きもあったが)。
南海・
鶴岡一人監督の選手の米留学プランはとん挫しかかっていた。
これは新人研修制度の導入で、50試合か100試合、一軍で出場できない新人選手を米球界留学をさせ、経験を積ませるプランで、この年入った
林俊宏や、前年9月高校を中退し入った
村上雅則に対しての口説き文句にもなっていた。
デトロイト・タイガースから「4月上旬からなら」と返事が来たようだが、鶴岡監督のプランは、開幕前の2、3月に新人だけではなくコーチ、幹部候補選手も一緒に派遣し、その後で新人だけ残す、と考えていたので、再度タイガースと交渉、さらにヤンキースにも声をかけたらしいが、いずれも返事はないという。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM