両軍選手が集まり、あわや乱闘へ
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は7月10日だ。
「あのボケだけはもう許さへん。去年3度当てたときは『次やったらしばいたる』言うたが、今度は『顏いがめたる』や!」
なんとも恐ろしい
巨人・
清原和博の剣幕だった。
ボケ呼ばわりされたのは、
阪神の
藪恵壹だ。
1998年7月10日の巨人─阪神戦(東京ドーム)の5回裏一死走者なしで清原を迎えた場面で、藪が投じた初球はインハイへの抜け球となり、清原の右人差し指をかすめた。
ただ、それほど危ない死球には見えず、藪も「清原さんの弱点は内角ですから投げるしかない。あのくらいの球なら避けられるのでは」と言っている。
しかし清原の中には「許せん!」と怒る伏線があった。前年3度当てられ、3度目のときは指3本を突きだして、「これで3回や!」と威かくした。
それなのにしょうこりもなく、と切れたのである。
清原が二歩、三歩と詰め寄り、何か叫ぶが藪に謝罪のポーズはなし。そこから両軍飛び出して、あわや乱闘の騒ぎとなった。
結局、藪はこの1球でおかしくなり、敗戦投手になったが、清原は試合後もハイテンションで物騒な言葉を並べていた。
写真=BBM