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【MLB】天候不順でのダブルヘッダーは当たり前。メジャー・リーガーは頑丈でないと!

 

前日の雨と停電による試合中止で翌日昼12時からの試合に登板した前田。メジャー・リーガーはこのような日程にもしっかりと対応しなければいけない



 年間162試合を戦うメジャー30球団は、激しい雨が降っても、数時間、辛抱強く止むのを待って試合を決行する。そうしないと全日程を消化し切れない。

 例えば昨年9月11日、サンフランシスコでのドジャース対ジャイアンツ戦。雨で試合開始が42分遅れ、ジャイアンツ先発が一人に投げただけで再び強い雨で、さらに2時間52分の中断。ドジャースの先発・前田健太が1球目を投げたのは夜10時58分だった。

 これより悲惨なことはないと思っていたが、先日6月18日、カブス対ドジャース戦でもっとひどい事態になった。夜7時5分開始。地元の3つの天気予報が、開始時刻は100パーセント雨と予測、そこで50分前に、プレーボールを遅らせると発表した。両チームとも先発投手を短いイニングで失いたくないため、フィールドに巨大なシートをかぶせ、一雨降り終えてから、試合を始めようと考えたのだ。

 しかしながら、実際に雨が落ち出したのは1時間も遅い8時だった。そこから約1時間で雨はやみ、グラウンドクルーがシートを巻き上げ、砂をまくなどプレーできるようにフィールドを手直し。ファンも席に戻った。ところが、試合が始まらない。なんと球場の一部が停電になり、ライトフィールドの屋根の照明と、レフト側も一部消えてしまったのだ。

 問題が起こったのは雨が降り出した直後。球場のスタッフが修復しようと試みたが、ついたり、消えたりを繰り返した。暗い球場に再びグラウンドクルーが出てきて、大ブーイングの中、シートをかせ直す。実は次の大きな雨雲が近づいていたのだ。停電は直らないし大雨がくるということで夜10時前に中止が決定した。前田は頭を抱えていた。

「雨だったら、去年夜11時くらい開始というのがあって経験している。ところが停電もあって(準備は)難しかった。電気がついたから30分から35分後くらいに試合を始めるというので、ついたときに慌てて準備をしたら、また消えてしまった。で、もう(今日は)終わりだと」。

 その上、延期の試合は、翌日ダブルヘッダーの1試合目。正午過ぎ、12時5分からと通常のデーゲームよりも早かった。前田は大急ぎでホテルに戻り、ベッドで目をつぶって眠ろうとしたが、「試合の気持ちになっていたので、すぐには眠れなくて」。

 結果、翌日の試合は自身メジャーワーストの5四球(1敬遠を含む)を与え、4回途中3失点で降板となった。本人は「相手も一緒」と言い訳はしなかったが、きついコンディションだったのは間違いない。

 カブスのジュリアン・グリーンさんは球場の責任者。「アメリカ中西部はこの時期、雷雨が多いし、予期できないことではなかったが、今年の天候は異常」と首を振る。今季カブスのホームゲームが延期になったのは5度目だ。ダブルヘッダーも仕方がない。公式戦中、ドジャースがシカゴに来るのは今回のみ。シーズン残り、両チームともオフの日は2度見つかったが、1試合のためにドジャースにわざわざ片道3200キロの移動をしてもらうのも厳しい。

 カブスはMLB機構と相談し、18日は粘れるだけ粘った挙句、19日のデーゲームを組んだ。犠牲になるのは選手の身体。頑丈でないとメジャーではやっていけないのである。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
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