今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 ゴジラ対キングコング?
今回は『1963年3月11日号』。定価は40円だ。
キャンプ終盤の時期で、ちらほらオープン戦が始まっている。大ネタがなかったので、今回は(今回も?)たわいもない話をいくつか……。
まずは国鉄キャンプの雑感から。
湯之元の国鉄キャンプの名物は、「ゴジラ対キングコング」、いや「
金田正一とノッカー
林田章三」の対決だった。
投手ながら金田は、練習最後に毎日志願して個人ノックを受けていたのが、とにかくタフ。いつもノッカーのほうが「もう勘弁してくれ」と音を上げてしまう。
そこで登場するのが怪力で知られ、疲れ知らずと言われる林田コーチだ。選手時代は打撃練習で1日何百球打っても平気な顔。コーチになってからは、選手たちが逃げ回るほど延々激しいノックを続ける。
いわば「ノッカー殺し対殺人ノッカー」である。
ともに「そらいくぞ」「さあこい」とにぎやか。これを楽しみに来る、お客さんもいたらしい。
南海・
鶴岡一人監督は、
佐々木信也の対談連載に登場。一番楽しみな選手として、新人左腕の
村上雅則を挙げた。
「体もいいし、球質もいい。オープン戦にほおらしても面白いと思います。いまはカーブを投げるときがはっきり分かるんですよ。いまはそれを直しています」
アメリカ・フロリダ州タイガー・タウンでキャンプを張る阪神では、村山実の評判がよく、社交辞令もあってだが、デトロイト・タイガースの関係者が「契約金10万ドル(3600万円)の価値はある」と言っていたようだ。
そうそう、ちょっと臭い話も届いていた。
牛乳嫌いだった藤本定義監督が、
青田昇コーチに「オヤジさん、こっちのミルクはほんまうまいわ。飲まんで帰ったら日本で笑われますよ」とあおられ、つい飲んでしまって下痢になったらしい。
また、昔は多かったようだが、球場のロッカールームのトイレが完全オープンでついたてもなく、阪神の選手はみなバスタオルで隠しながら使っていたという。
では、またあした。
<次回に続く>