週刊ベースボールONLINE

プロ野球仰天伝説

江夏が71年球宴で見せた9連続三振の離れ業!/プロ野球仰天伝説201

 

長いプロ野球の歴史の中で、数えきれない伝説が紡がれた。その一つひとつが、野球という国民的スポーツの面白さを倍増させたのは間違いない。野球ファンを“仰天”させた伝説。その数々を紹介していこう。

継投でノーヒットノーランも達成



 1971年のオールスター第1戦は、7月17日、西宮での開催だった。球場の空気が一変したのは2回。江夏豊(阪神)だった。四球のロバーツ、左前打の武上四郎(ともにヤクルト)を塁上に置いて、競輪用に設けられた屋根付き右翼スタンドの上段まで飛ばした。パ・リーグ先発の米田哲也(阪急)が2球目に投じた、胸元に入ってくるスライダーをオープン気味に構えて狙い澄ました。

 その裏、マウンドでは江藤慎一ロッテ)から始まる四、五、六番を三振に取り、もはや“独壇場”の空気は揺るがなくなった。これで初回から6者連続三振だ。

 3回裏、阪急の打者が続いたが、阪本敏三はポンポンポンと直球で三振。岡村浩二は高めのバットがクルリ。米田が2回で降板した際、一塁に入った売出し中の加藤秀司が次打者。阪急は“地元の意地”を見せたいところだったが、第1球ストライク。ワッと大歓声。第2球ボール。「フウッ」という溜息が潮騒のようにスタンドに流れる。

 第3球、ネット裏方向に上がるファウル。江夏は、投げた余勢のような形で前進。発した声は「ブチさん、捕るな」だったという(後で田淵幸一捕手も、むろん捕るつもりはなかった、と説明した)。

 そして4球目、アウトコースのカーブと思われる球を空振り。連続9三振! 世紀の大記録を達成して江夏が肩を揺すって帰ってきたときにはもう、セ・リーグのベンチは勝利のうちに試合が終わったようなムードになっていた。

 その後、セは4回から渡辺秀武巨人)、6回は先頭打者にアルトマン(ロッテ)が代打で起用されたため、高橋一三(巨人)をマウンドに送った。7回は3番手の予定だった水谷寿伸中日)が投げるも、先頭打者の長池徳二(阪急)の打球を右手親指に当てて、急きょ小谷正勝(大洋)がつなぎ、そのまま最後まで締めてゲームセット。江夏ショックから立ち直るきっかけをつかませず、継投ノーヒットノーランでパを封じた。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング