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球界デキゴトロジー/7月14日

「東京ドーム巨人戦」と黒田には不思議な因縁がある? 広島・黒田博樹が巨人を倒し通算100勝達成!(2007年7月14日)

 

花束を手に歓声に応える黒田


 プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は7月14日だ。
 
 2007年7月14日、巨人戦(東京ドーム)に先発した広島黒田博樹がプロ通算100勝目をマークした(123人目)。

 入団当時のように、150キロ超の速球を力任せに投げ込み、フォークを交えながら三振を狙うピッチングではない。プロ11年目の右腕はシュート、カットボールなどを交え、バットの芯を外し、ゴロの山を築く頭脳的なピッチングを身につけていた。

 この日も4回まで巨人打線に10個の内野ゴロを打たせ、7回まで5安打1失点。8回表、味方打線が巨人の拙守に付け込んで大量6点を挙げたとき、ベンチから完投GOサインが出たようだ。

 結局、8対2で黒田は完投勝利。今季9勝目だが、この時点での広島は29勝だから約3分の1を一人で稼いでいることになる。

 若い読者の方には、多少背景の説明が必要かもしれない。
 06年に就任したブラウン監督はメジャー方式で投手の球数規制をし、完投をさせたがらなかった。それでも黒田が、この年リーグ最多の7完投を収めているのは、それだけ球数が少なかったからでもある。完投はだいたいが110球前後、この日は103球だった。

「いろいろな人に助けられての100勝。1人でできた記録じゃない」
いかにも黒田らしいコメントの後、「粘り強く投げられた。相手が巨人だというのがね。あれだけの打線なので、よかった」と巨人戦20勝のうれしさも表現した。

 ルーキーの97年4月25日の巨人戦(東京ドーム)でプロ初登板、初先発。6安打9奪三振の堂々たる完投勝利を飾った(6対1)。ちなみに、その日の巨人のクリーンアップは松井秀喜(07年ヤンキース)、清原和博(07年オリックス)、ルイス。巨人のスタメンで14日の試合に名を連ねている選手はゼロだった。

 一方、広島は黒田一人。96年当時の六番には6年目の金本知憲(07年阪神)がいた。

 100勝目の試合を報じた週べの記事の結びを抜粋する。

「黒田の父・一博さんは元南海などで外野手だった。巨人との日本シリーズにも51年から3年連続出場している。しかし、3連敗。息子にはそのリベンジが期待される。その右腕で巨人を倒し日本シリーズに出場する日は来るのだろうか──」

 一博さんが53年巨人の3連覇を唇をかみしめながら見ていたのは、東京ドームの前身、後楽園球場だった。

 さらに説明するまでもあるまい。2016年9月10日、広島25年ぶりの優勝は、東京ドームで巨人を破って決めた。
 そのとき先発のマウンドに立ったのが、黒田だった。
 
写真=BBM
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