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立浪和義コラム

立浪和義「松坂のしたたかな投球。スッと外のチェンジアップですかすことも……」

 

抜群の対応力



 今回は、締め切りの都合で結果までは分かりませんが、中日の松坂大輔投手がオールスターで復帰登板をする予定になっています。現時点で3勝3敗ながら巨人菅野智之選手、広島大瀬良大地選手らがいる中での先発部門のファン投票1位。彼の復活が、どれだけ野球ファンの大きな話題になっていたかが分かります。

 昨年までのソフトバンクでの3年間は、肩痛に苦しみ、一軍登板は1試合だけ。あのまま引退となっても不思議ではありませんでした。中日にはテスト入団でしたが、正直、春季キャンプを見た時点では大きな期待をするのは難しいんじゃないかな、と思っていました。オープン戦や公式戦の最初の登板も、なんだか見ているほうがドキドキするような危なっかしいピッチングでしたしね。

 ただ、肩の状態が徐々に良くなってきたのでしょう。一戦一戦、ピッチングに安定感が出てきました。いまは背中痛で離脱とはなっていますが、これだけ投げて肩が大丈夫というのは、松坂選手にとって心強いことだと思います。

 もはや150キロ超のストレートがあるわけではありませんが、カットボール、スライダーをうまく使い、昔とはまったく違ったピッチングスタイルになっています。特に感じるのは、非常に考えて投げているということです。実際にはどうなのか分かりませんが、その日のマウンドに立って打者に投げながら、今日の自分はどの球を軸にすればいいかチェックしているような印象もあります。

武器はカットボール


 最大の武器はカットボールです。使い方も多彩ですね。いわゆるフロントドア、バックドアといろいろな使い方をしていますし、左打者の内角をカットボールで攻めて、打者が詰まりたくないと始動を早め、引っ張りにきたところで、スッと外のチェンジアップですかしたりすることもありました。

 意外と簡単に走者を出すこともありますが、ここぞ、という場面では投げミスがありません。打者のタイミングを見ながらのピッチングは、長い間の経験と、彼自身のピッチャーとしてのセンスの高さもあるのでしょうね。

 離脱前のピッチングですが、ストレートも威力を増し、阪神戦で福留孝介選手に内角のストレートを投げ込み、三振を奪ったシーンもありました。これから145キロ前後がコンスタントに出るようになれば、さらに変化球も生き、勝てるピッチングができるはずです。

 彼の存在は、間違いなく、ドラゴンズのほかの選手のいい刺激、勉強にもなっています。3年間投げていなかったこともあり、無理は禁物と思いますが、なんとか週に1回程度投げることができれば、チームの久々のCS進出も見えてくるのではないでしょうか。
 
写真=BBM
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