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ボルシンガーの“勝手に動く”フォーシーム

 

ボルシンガーはナックルカーブと“動くボール”で快進撃を見せている


 前半戦を終えて5位とはいえ、3位タイのソフトバンクオリックスとはゲーム差なしの貯金2。昨季、87敗を喫しての最下位だったことを考えれば、ロッテの前半戦の戦いぶりは健闘と言っていいものだろう。

 では、前半戦のチームMVPは誰か。断言するのは難しいが、新助っ人のボルシンガーが有力な候補の1人であることに異論はないはずだ。10連勝を含むハーラートップの11勝を挙げ、先発ローテがなかなか定まらない中で石川歩とともに大きな柱となった。

 3月24日のオープン戦最終登板(中日戦、ナゴヤドーム)で4回8失点と炎上し、開幕前の評価が高かったとは言えないだけに、サプライズという意味でもその価値は高まるが、「スロースターターだから。徐々に順応できてきたかな」と笑う。

 ピッチングスタイルは本人も口にするように「ボールを低めに集めて、ゴロで打ち取る」。アメリカ時代よりも「ファストボール(速球)の割合が増えた。ファストボールを見せることでほかの球種も生きてくるから」と組み立てのわずかな変化を明かしてくれたが、ボルシンガーの“ファストボール”がちょっと面白い。それはフォーシームかと尋ねると、「イエス」と答えたあとにこう続けた。

「フォーシームなんだけど、フォーシームなのに動くんだ。ツーシームも含めて打者の手元で動かすスタイルでやっているから(いいんだけど)」。聞けばフォーシームのつもりで投げてもカットボールのような動きをするという。「動かない真っすぐを投げたくても動いちゃうんだよね」。

 ボルシンガーの変化球といえば自慢のナックルカーブにまず目が行く。実際、低めにきまったときのナックルカーブの被打率は極めて低く、ゴロ率も高い。が、フォーシーム(カットボール)のゴロ率もナックルカーブに匹敵する割合を記録している。それをストレートと呼ぶべきなのか、カットボールと呼ぶべきなのかはともかく、自分のボールの特徴を逆手に取ってゴロの山を築いていることに違いはない。

 初出場となるオールスターを経て迎える後半戦。「前半戦のピッチングをみんなが忘れてしまうくらい、もっといいピッチングがしたい」と語るボルシンガーが、さらなるゴロアウトを量産しながら、ロッテを上位進出へと導いていくはずだ。

文=杉浦多夢 写真=川口洋邦
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