いよいよ第100回の大きな節目を迎える夏の甲子園。その歴史にこそ届かないが、80年を超えるプロ野球を彩ってきた選手たちによる出身地別のドリームチームを編成してみた。優勝旗が翻るのは、どの都道府県か……? プロ野球史を彩るレジェンド打線
県庁所在地の広島市は第2次世界大戦の末期に原爆投下という悲劇に見舞われたが、たくましく復興を遂げ、今や平和都市として世界に知られる。
その復興の歴史と切っても切り離せないのが、市民球団の広島東洋カープだ。広島焼き(広島風お好み焼き)やカキが全国区の名物だが、南は瀬戸内海に面し、タコなどの海の幸も隠れた美味。北には中国山地が迫り、気候は複雑で“平成30年7月豪雨”により大きな被害を受けたばかりだが、この苦難にも負けないはずだ。ここでも、そんな広島の県民性を象徴するような不屈の男たちがラインアップに並ぶ。
【広島ドリームチーム】
一(右)
広瀬叔功(南海)
二(二)
鶴岡一人(南海)
三(一)
張本勲(東映ほか)
四(中)山本浩二(広島)
五(三)
藤村富美男(
阪神)
六(左)
金本知憲(阪神ほか)
七(捕)
谷繁元信(
中日ほか)
八(遊)
白石勝巳(広島ほか)
九(投)
村田兆治(
ロッテ)
エースの村田兆治はタブーだったヒジの手術に挑んで復活、不屈という意味では象徴的な存在だ。そんな右腕を、51年MVPの
柚木進(南海)、V9の左腕エースだった
高橋一三(
巨人ほか)、先発でも救援でも計算できる
山本和行(阪神)ら左腕が支える投手陣。右腕ではカープ勢に備前(大田垣)善夫や
佐伯和司、現役の
永川勝浩や
薮田和樹がいる。
福原忍(阪神)や現役の
西村健太朗(巨人)らはセットアッパーになりそう。クローザーは
高津臣吾(
ヤクルト)だ。
打線にはプロ野球の草創期から近年に至るまで、その歴史を彩ったレジェンドがズラリ。カープの現役にも2016年MVPの
新井貴浩らベテランから大型新人の
中村奨成まで粒ぞろいだが、いずれも控え。ほかにも
柳田悠岐(
ソフトバンク)や
中田翔(
日本ハム)といった現役きっての強打者がいるものの、まだまだ届かない。
遊撃にいるのが巨人の創設から逆シングルの名遊撃手として活躍し、2リーグ分立で創設されたカープの中心選手となった白石敏男(勝巳)。昭和の黄金時代に中心選手として引っ張ったのが中堅にいる“ミスター赤ヘル”山本浩二(浩司)だ。
外野には好打者が多く、カープ勢では
山本一義や
山崎隆造、他チームでは草創期に怪力と“神主打法”で活躍した
岩本義行(松竹ほか)、83年にトリプルスリーを達成した
簑田浩二(阪急ほか)もいる。ここでは盗塁王5度、通算2000安打にも到達した広瀬叔功と、連続フルイニング出場の世界記録保持者で現在は阪神の監督を務める金本知憲を選んだ。
一塁へ回ったのが、プロ野球記録の通算3085安打を残した張本勲。一塁の経験はないので冒険ではあるが、これで内野陣の“威圧感”は最強。二塁は南海の“親分”鶴岡一人で、三塁にいるのが“物干し竿”と呼ばれた長尺バットを振り回した“初代ミスター・タイガース”藤村富美男だ。遊撃に
広岡達朗(巨人)が入れば、知的な雰囲気も加わって、ますますコワイ(?)。
カープ勢だけのラインアップも可能
打撃も最強クラスだ。不動のリードオフマンは広瀬だが、二番からは四番打者タイプが続く。七番にはプロ野球記録の通算3021試合に出場した谷繁元信が入った。
捕手では地元で黄金時代を支えた達川光男(広島)もおり、達川を司令塔に、一塁へ本職の新井を据えて“赤ヘル色”を強め、FAで去った金本を外して張本を同様に本職へ戻してもいい。一塁手では“赤ヘルの若大将”と呼ばれた
小早川毅彦(広島)もいる。
内野手ではカープの初優勝に貢献した
大下剛史(東映ほか)も忘れがたい存在。広島出身者のカープ勢だけでオーダーを組んでも優勝候補に食い込みそうな層の厚さだ。
写真=BBM