長いプロ野球の歴史の中で、数えきれない伝説が紡がれた。その一つひとつが、野球という国民的スポーツの面白さを倍増させたのは間違いない。野球ファンを“仰天”させた伝説。その数々を紹介していこう。 日本記録の216打席連続無三振
1997年6月26日、在京朝刊スポーツ6紙の1面は、すべてオリックス・イチローが独占した。その見出しは「イチロー、ついに三振!」。三振で1面を取ったのは、おそらくイチローが初めてだろう。
25日の
日本ハム戦(東京ドーム)の4回表、イチローは左腕の
下柳剛に三振を喫した。217打席ぶりの三振。前日24日の同カードで達成した“209打席連続無三振”の日本新記録を、“216”まで伸ばしての三振だった。もはや“打って当たり前”になってしまったイチローは、8月には月間打率.296で“不調”と大いに話題になった。
「ちょっとは休ませてよ。僕は数字でやってるんじゃない。関係ないことろでいっぱい打って、打率だけ上げればいいわけじゃないんだし」
終盤戦、
西武を追い上げて逆転Vを狙うチームのカンフル剤として、イチローは115試合目にして初めて二番に入った。開幕から三番としてチームを支えてきたイチローを、あえて94年に経験したことのある打順に戻したのだ。しかし、10月3日、オリックスは優勝を逸した。
「ペナントレースが終わっても、すべてが終わったわけじゃない。自分の目標に向かって、日々レベルアップしていかないと」
イチローは打率.345で4年連続首位打者、185安打で最多安打。フル出場での4年連続首位打者は、史上初だった。
写真=BBM