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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

花咲徳栄高・野村佑希の飛距離に西武・西川愛也も舌を巻く

 

聖地帰還へ。「泥臭くてもいい」と勝ちにこだわる花咲徳栄高・野村がバットでチームを鼓舞する


 埼玉県勢の悲願が成就した夏から1年――。チームのメンバーの大半が入れ替わるが、全国の頂点に立った瞬間から“連覇”の重圧、さらにはチーム全員での“優勝旗返還”の使命が重くのしかかる。今年、その重圧とも戦っているのが、埼玉の花咲徳栄だ。

 昨夏、6試合計80安打を放ち、61得点をたたき出した強力打線に、清水達也(現中日)、綱脇慧(現東北福祉大)の継投で頂点に。その中で、唯一2年生としてスタメンに、それも四番で出場していたのが、今夏はエースナンバーも背負う野村佑希だ。2年生だった昨夏に甲子園で2本塁打を含む6長打を放ち、打率は.520をマークしたプロ注目の逸材。その右の長距離砲に、1学年先輩の西川愛也(現西武)も舌を巻く。

「飛ばす力はすごい。でも、僕もアイツ(野村)も負けず嫌い。だから、練習でも試合でも張り合っていました。大会のホームラン数だったり、その試合の安打数だったり」

 2年生とはいえ、刺激を受ける存在だったのは確か。だから、球場への移動のバスでは常に隣に座らせた。

「僕が2年、アイツ(野村)が1年の秋のときに、僕が隣に誘ったんです。アイツが全然打てなく悩んでいて。打撃のことも聞いてくることもあったので、いろいろ話をするようになったんです。だから、試合前には予習、試合後には復習という感じで。右、左の違いはありますけど、バスでも打撃の話をよくしていました」

 西川が高校時代に意識していたのはボールの下をとらえて、バックスピンをかけること。そうした意識の共有も、野村が持つ天性の“飛距離”を伸ばしたのだろう。連覇を目指す夏を前に、高校通算本塁打は56に伸ばしている。

 連覇を期す今夏は、7月15日の北埼玉大会3回戦(対八潮南)を12対0で5回コールド勝ち。野村は3打数1安打。初戦の2回戦(対桶川西)では外野陣がフェンスギリギリで守る“野村シフト”を敷くなど、警戒が高まる中で結果を残している。だが、今夏は当然、自身の結果よりもチームの勝利が第一だ。

「泥臭くでもいい。とにかく勝ちたい」

 重圧とも戦う後輩へ。その打棒を認めているからこそ、先輩・西川も愛あるエールを送る。

「結局、僕は甲子園でホームランを打てなかった。それが悔しいんです。昨年の夏には先に野村に打てれましたし。その試合後に『はい! お先』と言われましたから(笑)。でも、今年も甲子園に行って、また打ってほしいですね」

 再び頂点を目指す夏。聖地帰還へ、野村がバットでチームを鼓舞する。

文=鶴田成秀 写真=BBM
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