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プロ野球仰天伝説

ピッチャー返しで東尾にわざと打球を当てた門田/プロ野球仰天伝説205

 

長いプロ野球の歴史の中で、数えきれない伝説が紡がれた。その一つひとつが、野球という国民的スポーツの面白さを倍増させたのは間違いない。野球ファンを“仰天”させた伝説。その数々を紹介していこう。

「ワザにはワザで立ち向かう」


南海・門田博光


 1980年代前半、セ・リーグでは巨人戦のテレビ中継が全盛期を迎えていた。後楽園球場の人工芝はナイターのカクテル光線を跳ね返し、抜群のスター性を誇る巨人ナインを明るく際立たせる。プロ野球が、男と男の真剣勝負から、より分かりやすいエンターテインメントに変貌していった時代だ。

「エース投手との微妙な駆け引きが面白かった。テレビを見ている人には分かりっこないだろうが」

 そんな時代にあって、こう言い切ったのが門田博光だった。

「それがプロフェッショナルな対決だと分かってもらえれば、うれしい」とも語っていた。

 例えば西武東尾修との対決。内角球で打者をのけぞらせて外角球で打ち取る“ケンカ投法”が持ち味だった東尾修に、ある試合の第1打席で門田は死球を受けた。門田は死球を与えた投手に対して、マウンドに向かっていく光景には否定的だ。

「ワザにはワザで立ち向かっていく。ワザで相手を倒してこそ相手に認めてもらえる」という考え方。言い換えれば「ピッチャー返しでボールを東尾に当て返す」ということだ。

 東尾に打球を当てるため、ひたすらバットの角度を考えに考え抜いた。そして第3打席で、ついに門田の強烈な打球が東尾の太ももに直撃した。

 その後も東尾はほかの打者に対しては“ケンカ投法”を続けたが、門田に対しては外角に巧みにコントロールされた沈み込むボールで勝負してきたという。門田はそれでほとんどショートゴロに打ち取られたというが、「ワザにワザで返した」東尾を称賛している。

写真=BBM
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