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球界デキゴトロジー/7月23日

スピードスター、西武・松井稼頭央、1試合4盗塁(1997年7月23日)

 

時代をつくる男には、それなりの雰囲気がある


“球界のブレークスター”と聞き、西武松井稼頭央の名前を思い出す人は多いだろう。

 しかも、この男、当時露出が少なかったパ・リーグ出身もあるのか、いわゆるブレークシーンがやたらに“多い”選手でもあった。

 後半スタメンに定着し、69試合で21盗塁の1995年から始まり、50盗塁の96年、さらには、そのオフの日米野球、テレビの筋肉番付……。
 陸上の短距離走者のようなスピードとバネ、茶髪でヤンチャそうな風貌、筋肉番付で見せた筋肉質の体もインパクトがあった。一般ファンが、野球選手のユニフォーム、私服姿以外を見ることはそうなかった時代だ。

 前半戦だけで39盗塁と走りまくり、意気揚々と挑んだ初出場の97年のオールスターもその1つだろう。95年終盤からレギュラーなのだから、いまさらブレークと思うかもしれないが、それだけこの男は、見る者の予測を上回り続けたのだ。

 7月23日、オールスター第1戦(大阪ドーム)。全パの西武・松井は、まず3回に出塁。全セの捕手は強肩で鳴らしたヤクルト古田敦也だ。
 ここで松井は二盗。ただし、タイミングは際どかった。
「少しスタートが遅れたんですが、古田さんの送球がちょっと高かったんで助かりました」
 と松井。ただ、このひやりのタイミングも若き松井の心に迷いは生まなかった。
 すぐ三盗。さらに5回の出塁でも再び二盗、三盗。1試合4盗塁はオールスター新記録だ。
「相手が古田さんだから、アウトになっても相手が素晴らしいんやと納得がいく。だから思い切っていきました」と松井。
 対して古田は、
「松井君は速い。オールスターに恥をかきにきたようなものですね」と苦笑していた。

 この試合、全パは5対0の勝利。
 松井は同年62盗塁で初の盗塁王、打率.309をマークしている。
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