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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

チームを支える石川亮の存在感。日本ハムの正捕手争いがいま面白い

 

ハツラツとしたプレーを見せる5年目捕手の石川亮


 後半戦のスタートとなった7月16日のオリックス戦(京セラドーム)では有原航平の完投勝利、さらには21日のソフトバンク戦(札幌ドーム)でも杉浦稔大日本ハムでの初勝利を一番近くで支え、女房役として存在感を示したのが石川亮だ。

 エース復権の兆しを見せるマウンドになった有原は「亮に助けられた試合」とそのリードを絶賛し、石川も「後半戦のスタートとして、チームの顔のピッチャーでとにかく勝ちたかった」と試合中も大きなジェスチャーで低めを意識させ、ピンチの場面でも持ち前の強気のリードで有原の力を存分に引き出した。
 移籍初登板となった杉浦にも序盤から積極的に声をかけ、1球1球のサインに心血を注ぎ、終わってみれば5回まで1本のヒットも許さないノーヒットピッチングの快投をもたらした。スポットライトは勝ったピッチャーに注がれるが、この2人の勝利の陰には間違いなく石川の奮闘があった。

 入団5年目。ルーキーイヤーから強肩捕手として将来を嘱望されていたが、なかなか殻を破れずに二軍暮らしが続いていた。特に昨年は右肩痛の影響でまともに野球ができないような生活。試合も捕手としてではなく、指名打者での出場がほとんどだった。その間に後輩の清水優心が頭角を現し、さらにチームは黒羽根利規DeNAから獲得し、オフには経験豊富な鶴岡慎也を補強。一気に層が厚くなった捕手陣の中で、石川の存在は影が薄くなりつつあった。

 それでも昨シーズン、守ることができない中でベンチで見る野球を経験したことで「悔しかったですけど、いまままで気付けなかった部分であったり、いろいろ発見できたこともたくさんあった」と腐ることなく、その貴重な経験を力に代えて懸命にレベルアップに励んできた。後輩の台頭、新たなライバルの出現……その中で自分がプロで生き残っていくためには何が必要なのか。それを自問自答してきた。

 その明確な答えはまだ見えてないのかもしれないが、それでもグラウンドで自分の持てる力をすべて注いで戦う石川の姿からは、これまでの4年間にはなかった「このチャンスを必ず掴むんだ」という強い意志を感じる。その姿はベンチスタートが増えた清水にも大きな刺激を与えているだろうし、その競争によって生まれる相乗効果、チーム力アップも栗山英樹監督の狙いの1つでもあると思う。

 群雄割拠の日本ハムの正捕手争い。12球団一の防御率を誇る投手陣とバッテリーを組むキャッチャーの存在が、チームの逆転Vの大きなキーパーソンになりそうな気がしている。

文=松井進作 写真=BBM
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