今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 栄ちゃん涙の初勝利
今回は『1963年5月13日号』。定価は40円だ。
読者のコーナーでは巨人・
王貞治のイラストの下に「ただいま四冠王」とある。要は「打点王、打率王、本塁打王、名前が王」というオチだ。
この年の巨人は開幕戦を落とした後、13連勝で首位に立ったが、その原動力が王、長嶋のON砲だった。
4月29日、15試合消化時点の王の数字が打率.456、本塁打9、長嶋が.407、本塁打8と打ちまくっている。
この年はストライクゾーンが狭くなり、かつ「飛ぶ」と言われた馬革ボールへの変更で打高投低になると言われていたが、この時点では想定どおりか。
本誌では、イニシャル砲の元祖と言われるヤンキースのマリス、マントルの「MM砲」からONへのメッセージをもらい、2人に見せている。内容はたわいもないが、サイン入りの実物もあったから、本当なのだろう。
南海では4月21日の大毎戦で
高橋栄一郎がプロ初勝利を挙げた。
61年ニッポンビールから巨人に入団も丸2年勝ち星がなく、この年、南海に移籍となっていた。
9回完投勝利。目は真っ赤だった。
「何しろ、僕は勝つ味を知らなかったでしょう。なんかこうおかしいですよ。親分が使ってくれるからです。巨人時代は敗戦処理ばかりだったんで、変われば変わるものです」
親分、
鶴岡一人監督も「これで栄ちゃんも自信をつけたやろ」と笑顔だった。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM