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立浪和義コラム

ヤングマン投手は巨人の救世主になれるか?/立浪和義コラム

 

あの角度は脅威



 面白い投手が一軍に上がってきました。

 7月17日の阪神戦(甲子園)で、初登板から3戦3勝となった巨人のヤングマン選手です。来日1年目ですが、オープン戦に打たれたことと外国人枠もあっての降格だったようです。マジメな性格のようで、二軍で日本の野球を研究した、という記事もありましたが、これだけの選手が、ずっと二軍にいたというのは、今考えれば、もったいなかった気もしますね。

 198センチの長身投手で手足も長い。インステップしながら、その長身をさらに高く見せるようなフォームで、上から投げ下ろしています。あれだけの高さからですから、角度があって、かつ腕の使い方が柔らかい。バッターにしたら、ものすごく近くから投げているように感じ、腕も遅れて出てきますから、かなりタイミングが取りづらいはずです。

 私も現役時代、2メートル前後の長身の外国人投手と対戦したことがありますが、やはり最初は非常に苦労しました。いまは日本人選手でも背の高い選手はいますが、当時はそうそういない。対戦経験自体がほとんどありません。打撃練習でも、角度は再現しづらいですし、慣れの問題もありました。

 球種については、あのカーブはバッターにすれば厄介ですね。7月1日、ナゴヤドームでの中日戦が初登板でしたが、初球からでも投げてくる大きなタテのカーブが有効でした。もちろん、それを生かすのがあのストレートです。速いし、キレがあります。あの角度からの質のいいストレートがあってこそ、緩く大きなカーブが生きるのだと思います。

 また、長身の投手は打者の的が小さく見えるのか、制球が乱れるタイプが多いのですが、彼はまとまっていますね。阪神戦では7回、10奪三振でしたが、基本的には低めに集めているから内野ゴロが多く、球数も節約できています。

逆転Vのキーマンに


 まだ3試合だけですし、各チームのバッターもこれから研究してくるはずです。いまは初顔でデータがない中での好投でしたが、これから対戦を重ねて目が慣れ、しかも研究されていきます。当然、弱点を突かれ、崩れる試合もあると思います。

 外国人投手は、それで突然勝てなくなるタイプもいますが、ピッチャーは全試合勝てるわけではありませんし、バッターも仮にクセを見抜き、狙い球を絞っても全打席打てるわけではありません。

 セットやけん制については、当然直していかなければいけませんが、これから日本球界で結果を出していくには、神経質になり過ぎず、自分の持ち味を生かす切り替えができるかどうかもあるでしょう。

 今年は特に暑いこともありますが、夏場は、どのチームも投手のやり繰りに苦しみ、打線も低調になりがちです。その中で、いまのピッチングが続くのであれば、菅野智之選手に次ぐ先発ローテの柱になっていくはずです。広島との差はついていますが、逆転優勝に向け、巨人の救世主になるかもしれません。

写真=BBM
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