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週刊ベースボール60周年記念企画

若き王貞治が語る「どうせならルース、マリスを抜きたい」/週べ1963年6月3日号

 

 今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

三宅が怒る「ボサッとしてたんじゃない」


表紙は巨人長嶋茂雄



 今回は『1963年6月3日号』。定価は40円だ。

 巨人ONの快進撃が続いている。

 5月20日現在、打率は1位・長嶋茂雄.396、2位・王貞治.388、本塁打は1位・王13本、2位長嶋10、打点は長嶋、王が33で1位タイ。巨人も2人のバットで勝ちまくり、首位を独走だ。

 王は「どうせやるならでっかいことを。ベーブ・ルースやマリスの記録を破ってみたい。これが唯一の大目標ですよ」。
 ルース60本塁打、マリス61本塁打。この時点の王は67本ペースという。若き日の王は、野心にあふれてた。

 巨人ではさらに若き男も台頭してきた。プロ2年目の柴田勲だ。投手から野手に転向し、実質1年目のシーズンだが、観客を沸かせているのは「足」。代走で盗塁を量産していた。
 柴田の走法は「ツイスト走法」と言われていた。本人いわく。
「僕の走り方はどうもカッコよくないらしいですね。がに股でバタバタやっているって。みんな“ツイスト走法”って言うんですよ。でもね、どんな走り方でも速く走れたらいいんですよ」
 すり足の忍者走りっぽいものだろうか。

 対して前年の覇者阪神は5位に低迷と冴えない。
 若きエース、村山昌史(実)はまだボールさえ、握れない。
「昼は革の手袋、夜寝るときは毛糸の手袋をしています。先生の指示でね」
 血行障害で冷たくなった指を温め、少しでも血の巡りをよくしよう、ということらしい。
 
 名三塁手・三宅秀史もボールを右目に受けた後遺症でまだ復帰のめどが立っていない。
 練習中に、小山正明山本哲也とキャッチボールをしていたときの球がそれ、右目に受けた。
 三宅は「あのとき三宅はボサッとしていた、と書かれたことは頭にきた。2人は僕の右後ろでキャッチボールをしていたんだ。それで僕の第六感、いや第七感ぐらいが危険を感じさせ、振り向いたところに当たった。もし振り向いてなかったら後頭部に当たって、いまごろアホになっていたやろ。僕の落ち度はつめの垢ほどもないはずだ。ましてや、自分の後ろのことが分かるはずもない」


 では、また月曜日に。

<次回に続く>

写真=BBM
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