今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 ハーラートップに立つ長嶋より体毛が濃い男
今回は『1963年6月10日増大号』。定価は10円上がって50円だ。
巻頭に『語られたニュース。その後の真実』という記事があった。
国鉄スワローズ、というよりその実質オーナー、サン
ケイ社長・水野成夫が本拠地予定と発表した神宮第二球場の完成予定図が掲載されていた(それまでは後楽園)。2階建ての客席をはじめ、なかなかモダンである。
フジテレビ関係者は6月26日に地鎮祭、7月1日着工、64年3月完成予定と言っている。この話は以後も追っていく。ただし、記事があれば、だが。当時の記事は、意外と「その後」がないケースは多い。
中日に入団した中卒選手、
松本忍、
杉斉英、森田直泰の近況も書かれていた。3人とも定時制のようだが、高校に進学し、練習にはトレーニングウエアで参加。寮費と学費を球団が持ち、月に1万円の小遣いが出るらしい。
大相撲では、横綱・北の湖のように部屋に所属しながら中学に通った力士がいたが、同じなのか。
巨人の
長嶋茂雄、王貞治のONは相変わらずの絶好調。2人で打撃3部門の上位を独占している。
300勝投手となった国鉄・
金田正一の王対策も出ていた。
「王は変なフォームをしているからピッチャーのほうがつられてしまうんや。長嶋のほうがオーソドックスで牛耳りやすい」
さらに、
「王は右足を上げたときホームベースを隠してしまう。だから投手は投げるコースが分からず、ついつい真ん中に投げてしまうんだ。スレスレでも内角を狙ってみようか」
と話している。
国鉄・
浜崎真二監督の発言は物騒だ。
「軸足を狙えばいい。左足だけで立っているんだから絶対に逃げられないし、一度痛い目に遭えば、王のやつも次から恐怖心にかられて、のびのびと打てなくなる」
以前から何度か週べに出ていたのだが、「長嶋より体毛が濃い」と言われていたのが、東映の
石川陽造だ。5月27日現在でハーラートップのトップの7勝を挙げ、防御率も1.21でトップ。
立大からプロ入りし2年目。前年はイースタンで好投を見せ、この年から一軍定着。落ちる球が得意というが、雰囲気的にはフォークではなく、シンカー系の球のようにも思われる。
では、またあした。
<次回に続く>