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都道府県別ドリームチーム

【山梨県】投打の中心は“甲斐の小天狗”/都道府県別ドリームチーム

 

いよいよ第100回の大きな節目を迎える夏の甲子園。その歴史にこそ届かないが、80年を超えるプロ野球を彩ってきた選手たちによる出身地別のドリームチームを編成してみた。優勝旗が翻るのは、どの都道府県か……?

メジャー・リーガーもいる充実の投手陣



 静岡県との県境にまたがる富士山が世界遺産に登録されてから5年。ただ、自然遺産としての登録ではなく、古くから信仰の対象だったための文化遺産としての登録であり、その対象には山梨県側の富士五湖や忍野八海などの観光地も含まれ、夏は避暑地としても人気だ。一方、県庁所在地の甲府市の周辺は盆地のため夏は暑く、冬は寒い。旧国名は甲斐。

 出身プロ野球選手の筆頭格は“甲斐の小天狗”と呼ばれた堀内恒夫だろう。巨人V9の真っ只中、1972年にMVPとなり、プロ2年目の67年にはノーヒットノーランを達成した試合で3打席連続本塁打を放つ離れ業をやってのけた堀内が、ここでも投打の中心だ。

【山梨ドリームチーム】
一(右)井出竜也日本ハムほか)

二(遊)久慈照嘉阪神ほか)

三(投)堀内恒夫(巨人)

四(左)長田幸雄(大洋)

五(一)矢頭高雄(大毎)

六(三)佐野嘉幸(東映ほか)

七(中)松本哲也(巨人)

八(捕)中沢伸二(阪急)

九(二)田辺徳雄西武ほか)

 投手陣は充実している。堀内と二枚看板となるのが日本人で初めてメジャー・リーガーとなった村上雅則(南海ほか)で、同様にメジャーを経験した“幕張の防波堤”小林雅英ロッテほか)がクローザー。80年代の川崎時代には深沢恵雄(ロッテほか)や石川賢(ロッテほか)ら右のスターターがいて、ロッテと縁が深いと言える。

 村上のような西日本勢も負けてはおらず、セ・リーグには西村一孔(阪神)や中込伸(阪神ほか)、パ・リーグには山村宏樹(近鉄ほか)、貴重な左腕でもある井上善夫(西鉄ほか)は堀内より前にノーヒットノーランを達成している。

 司令塔は多彩な投手陣をリードして阪急黄金時代を支えた中沢伸二だ。バッテリーに不安はない。

 俊足堅守の巧打者タイプが並ぶ打線で長打を期待できるのは“ポパイ”と呼ばれた怪力の長田幸雄ぐらいで、堀内と三、四番でコンビ。左翼にいる長田と外野陣を形成するのが、リードオフマンに適性がある井出竜也と松本哲也だ。ともに中堅がメーンだったが、ここでは松本を中堅に残して打順を七番として、井出を右翼へ回して一番打者を任せることに。

 二番で続くのは仕事人の久慈照嘉(テル)だ。阪神で正遊撃手だった久慈と守備位置が重なるのが、やはり名手の佐野嘉幸と田辺徳雄で、意外性のある打撃に二塁や三塁でも堅守を見せた佐野は六番で三塁へ、西武黄金時代に“恐怖の九番打者”と評された田辺は当時と同様の九番に据えて、守備は久慈との二遊間に。

 一塁にいる矢頭高雄は外野手だが一塁の経験も少なくなく、堀内と長田のクリーンアップに続く五番打者として勝負強さを発揮する。

現役選手は1人だけに……


 古くは戦国最強とも言われた騎馬隊を率いた武田信玄の本拠地だった山梨県。豊富な軍資金は領内の金山から採掘される金によるものだったというが、武田氏は信玄の死後、10年も経たないうちに滅亡した。

 山梨県出身のプロ野球選手も似た状況にある。堀内、中沢という巨人V9に阪急黄金時代の司令塔とのバッテリー、西武黄金時代の正遊撃手だった田辺もいるが、育成出身から2009年に新人王となるまでに這い上がった松本哲也が17年限りで引退。一時は現役選手がゼロになる可能性もあったが、渡邊佑樹楽天)がプロ入りしたことにより、かろうじて“滅亡”は免れた。

 左腕のエースナンバーでもある背番号47を与えられた渡邊の活躍に、山梨県の存亡が懸かっていると言えそうだ。

写真=BBM
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