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夏の甲子園 名勝負列伝

史上2人目の5試合連続完封で小倉が夏2連覇を達成!/夏の甲子園 名勝負列伝

 

いよいよ100回目の夏の甲子園が始まる。『週刊ベースボール』では、オンライン用に戦後の夏の甲子園大会に限定し、歴代の名勝負を紹介していきたい。

史上2人目の大記録を遂げた右腕


39年の嶋清一(海草中、現・向陽高)以来、史上2人目の全5試合連続完封を成し遂げた福島


1948年8月20日
第30回大会=決勝
小倉(福岡)1−0桐蔭(紀和・和歌山)

 学制改革により中等学校優勝大会が現在の高校野球選手権大会となり、詩を全国から公募して制定された新大会歌「栄冠は君に輝く」(加賀大介作詞、古関裕而作曲)が開花式で流れた昭和23年、1948年夏。終戦から、まだ3年。日本各地に戦火の傷跡が色濃く残っていた。

 決勝戦は前年の春準優勝、続く夏に全国制覇を果たして連覇を狙う小倉と、旧制和歌山中時代から通算18回目の出場となる古豪・桐蔭が、緊迫した投手戦を繰り広げた。

 小倉のエース・福島一雄は、戦後復活した46年夏の大会から春夏連続5度目(翌年春、夏にも出場し、最終7度)の全国大会のマウンド。伸びのある速球に変化球を交え、また上手、横手と投げ分ける投球術は当時No.1と言われた右腕だ。

 対して桐蔭は、荒れ球気味ながら剛球を武器とした2年生左腕の西村修(のち阪神)がエース。福島はここまで4戦、西村は準々決勝、準決勝を連続完封して勝ち上がった。

 右と左、タイプも違う両投手は立ち上がりから持ち味を発揮し、がっぷり四つの投手戦となり、スコアボードに「0」が並んでいく。

 明暗を分けたのは、6回裏だった。小倉は四球、犠打野選で無死一、二塁とチャンスをふくらませた。一死後、四球で満塁。この場面で小倉はスクイズ策をとるも投手フライで二死。万事休すと思われた。続く福田慶久も1ボール2ストライクに追い込まれる。

 だが、西村の投じたカーブが福田のユニフォームの左袖をわずかにかすり、死球押し出しで小倉はノーヒットながら1点。これが決勝点となった。3安打、4四死球に小倉打線を抑えた西村にとっては、悔やんでも悔やみきれぬ1球となった。

 一方、小倉のエース、福島は被安打4、四死球0と最後まで危なげなく、無失点。39年の嶋清一(海草中、現・向陽高)以来、史上2人目の全5試合完封を成し遂げ、チームを優勝に導いた。

 小倉高のグラウンドに建つ連覇の記念碑には、「ああ栄冠はわれに輝く」の文字が大きく誇らしげに彫り込まれている。

写真=BBM
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