いよいよ第100回の大きな節目を迎える夏の甲子園。その歴史にこそ届かないが、80年を超えるプロ野球を彩ってきた選手たちによる出身地別のドリームチームを編成してみた。優勝旗が翻るのは、どの都道府県か……? オリックス・バファローズのエース
冬は山沿いを中心に豪雪地帯として知られ、フェーン現象の影響を受ける平野部の夏は暑い。日本海に沿って北東から南西へとアーチ状に長く、南西から上越、中越、下越となるが、日本海に注ぐ川の多くが南から北へ流れていることと、下越が地図では上に位置することなどから、多くの川が北から南に流れている太平洋側に暮らす人が新潟県へ行くと、上越と下越を混同し、方向感覚も混乱することが少なくないという。
その日本海に浮かぶ佐渡島は東京23区よりも大きく、トキの繁殖が行われていることでも知られる。山海の幸に加え、雪に唐辛子をさらすなど数年をかけて作られる伝統調味料の“かんずり”なども味わい深いが、全国きっての米どころであり、やはり米は美味。寿司屋でネタがイマイチでも、ネタの味が染みたシャリだけで酒が進んでしまうほどだ。
戦国時代は上杉謙信の領地。連戦に次ぐ連戦で不敗を誇って“軍神”と呼ばれた最強の武将で、窮地も常人には考えつかない奇策で突破したというが、そんな新潟県出身のプロ野球選手は野手の層が薄く、やむを得ず奇策で一か八かの勝負に正面突破で打って出るような背水の陣だ。
【新潟ドリームチーム】
一(三)
青島健太(
ヤクルト)
二(遊)
綱島龍生(
西武)★
三(一)
渡辺一衛(金星)
四(二)
渡辺浩司(
日本ハム)
五(捕)
加藤健(
巨人)
六(中)
馬場正平(巨人)
七(左)
今井啓介(
広島)
八(右)
関本四十四(巨人ほか)
九(投)金子千尋(オリックス)★
(★は現役)
エースは現役から、2018年にプロ14年目を迎えたベテランで、衰え知らずの投球術を駆使する金子千尋。MVP経験者ながら優勝経験のない右腕エースだが、ここでは実際よりも厳しい奮闘を余儀なくされそうだ。
史上20人目の初打席本塁打でデビューし、引退後は歯切れのいいコメントでスポーツキャスターとして活躍している青島健太がリードオフマンで、最も多く守った三塁に入る。期待を込めて、まだ一軍出場がないプロ1年目で遊撃手の綱島龍生を、打順と三遊間で青島とのコンビに据えた。
三番は一塁の控えとして金星を支えた左打者で長打もあった渡辺一衛。プロ14年目の1995年に日本ハムで二塁のレギュラーを張り、いぶし銀の二番打者として真価を発揮しそうな渡辺浩司(浩)が主砲で、同姓が一、二塁間と三、四番に並んだ。
五番は控え捕手として巨人を支えた強肩堅守の加藤健で、バッテリーを含む内野の守備には不安が少ないが、六番から並ぶ外野陣は、いずれも投手。打撃は不安だらけだ。
阪急ブレーブスの“完全男”も
のちにジャイアント馬場としてプロレスで一時代を築いた馬場正平を、その潜在能力に懸けて六番、守備は要の中堅に。
その両翼は、プロ初打席で初安打、第2打席で3点三塁打を放った今井啓介が七番で続き、八番は青島と同様に引退後は評論家として活躍した関本四十四(充宏)だ。馬場は投手としても未知数だが、今井や関本は救援登板も期待できる。
クローザーは98年に新人王を争った
小林幹英(広島)。スターターでは
星野順治(ダイエー)や貴重な左腕の
猪俣隆(
阪神ほか)もいるが、金子との二枚看板は今井雄太郎(阪急ほか)だろう。
阪急黄金時代からオリックスとなるまで投げ続けた右腕で、金子にとってはチームの先輩でもある。1点も与えられない投手陣にあって、指名打者制で唯一の完全試合を達成した今井は心強い存在だ。
写真=BBM