8月1日の
ロッテ戦(帯広)で
中田翔のサヨナラ打で大逆転劇を演じた日本ハム。その勝利の陰にこの男の存在感が光っていた。
松本剛。1点ビハインドの9回裏、一番の
西川遥輝が三振に倒れた後、二番の松本が持ち前の粘りを発揮して価値あるフォアボールで出塁。相手の
益田直也のリズムを崩し、試合の流れを呼び戻した。結果はご存じのとおり、
近藤健介、中田の連打で1対7から大きな勝利をもぎとった。指揮官も「剛があの場面でよく選んでくれた」とポイントの1つに挙げ、その働きを賞賛した。
7月20日に一軍再昇格以降(8月2日現在)、二番打者として10試合に出場して安打が出なかったのは1試合だけ、打率も.395と結果を出している。今シーズンは開幕前から調子が上がらず、
大田泰示に外野のレギュラーを完全に奪われた。昨年の大ブレークから一転、二軍落ちも経験するなどもどかしい日々を送ってきた。「正直悔しかった」と飾らない胸の内を吐露し、レギュラー再奪取に向けて懸命にアピールを続けている。
大田のようなスケール感や長打力こそないが、状況に応じたシュアなバッティング、前述したここぞの場面での粘りのある打撃、小技を含めた総合力の高さは松本の大きな武器。現在はケガで離脱中の大田も早ければ8月中に復帰予定だけに、シーズン終盤に向けて松本と大田のどちらを起用していくかも注目であり、指揮官にとってはうれしい悩みでもある。
いよいよ今日(8月3日)からは敵地で首位を走る
西武との直接対決が幕を開ける。3連勝すれば一気に首位奪回となり、逆に負け越せばふたたび差は広がる、後半戦最初の天王山とも言える重要な3連戦となる。
その中でキーマンになりそうなのが好調を維持する二番・松本の存在。昨シーズンの西武戦での成績は打率.311に加え、得点圏打率も.462と得意としている相手。逆転Vの使者として、復調の兆しを見せる背番号12がチームをさらなる上昇気流に乗せられるか。
文=松井進作 写真=高原由佳