いよいよ第100回の大きな節目を迎える夏の甲子園。その歴史にこそ届かないが、80年を超えるプロ野球を彩ってきた選手たちによる出身地別のドリームチームを編成してみた。優勝旗が翻るのは、どの都道府県か……? 首都圏チームの選手が中心
日本で初めて国立公園となり、世界遺産に登録された東照宮がある日光をはじめ、那須塩原や鬼怒川など多くの観光地を擁する栃木県。野球界では作新学院高が1962年に甲子園で初めて初夏連覇を達成しているが、その卒業生でもある“怪物”江川卓が出身プロ野球選手のアイコン的な存在だ。
近年はインフラの整備もあって県庁所在地の宇都宮市などは東京都心への通勤圏でもあるそうだが、ラインアップには現役でベテランの
高谷裕亮を除いて、首都圏チームの選手がズラリ。そして江川のいた巨人よりも、どういうわけか
ヤクルト勢に投打の名選手が目立っている。
【栃木ドリームチーム】
一(遊)
石井琢朗(横浜ほか)
二(右)
小関竜也(
西武ほか)
三(左)
真中満(ヤクルト)
四(一)
広沢克己(ヤクルトほか)
五(三)
飯原誉士(ヤクルト)
六(中)
岡田幸文(
ロッテ)★
七(二)
寺内崇幸(巨人)★
八(捕)高谷裕亮(
ソフトバンク)★
九(投)江川卓(巨人ほか)
(★は現役)
横浜を日本一に導いた“マシンガン打線”の斬り込み隊長で、2018年からヤクルトでコーチを務める石井琢朗(忠徳)がリードオフマンで、定位置の遊撃に。巨人で四番打者を務めた時期もあるが、ヤクルトの主砲として活躍した広沢克己(広澤克実など)が、ここでも四番打者だ。
本塁打の量産が期待できるのは広沢のみだが、その前後を同じヤクルト勢で堅守の外野手が固めるクリーンアップに。三番は勝負強さが光った真中満。五番には栃木の大学出身者として初めてのプロ野球選手で、現在は兼任コーチとして独立リーグの栃木でプレーしている飯原誉士が入った。
2007年は正三塁手だった飯原は、ここでも三塁に。その外野には、ともに堅守の小関竜也と現役の岡田幸文。同じく現役で二塁に入った寺内崇幸も守備の名手だ。広沢の一塁守備は平均的だが、内野には現役で遊撃手の
石井一成(
日本ハム)、外野にも名手の
島野育夫(南海ほか)が控え、守備は盤石と言える。
打順は石井に続く二番に、18年も現役を続けている
松井稼頭央(西武)との一、二番コンビで02年の優勝に貢献し、巨人を経て横浜で石井ともチームメートになった小関。ヤクルト勢を挟んで、本塁打ゼロを維持している(?)岡田を六番に。職人タイプで韋駄天の岡田から始まり、意外性のある打撃も魅力の寺内に高谷と現役の続く打順が新たに始まると考えれば、通算13本塁打の江川が“四番でエース”だ。
下位からでも得点できそうだが、やはり石井が出塁して小関が送り、真中が続いて広沢が一気に還すのが王道だろう。
左腕も充実の投手陣
エースの江川と左右両輪となるのが現役の
成瀬善久(ヤクルト)だ。タイトルはロッテ時代だが、ここまま終わるはずもない大ベテラン。左腕も充実していて、現役では新人の田嶋大樹(オリックス)も即戦力左腕。同様にドラフト1位で入団したのが
小野和義(近鉄ほか)で、同じくドラフト1位の右腕で新人王となったのが
高村祐(近鉄ほか)だ。
作新学院高で62年の背番号1だったのがプロで完全試合を達成した
八木沢荘六(ロッテ)で、そのプロの後輩がサブマリンの
渡辺俊介(ロッテ)。リリーバーの
落合英二(
中日)や現役の
澤村拓一(巨人)ら右腕もそろう。
江川や広沢ら投打の大スターを、いぶし銀の個性派が支える実在のチームのような構成。バイプレーヤーの層も厚く、長期戦を勝ち抜いていくだけの戦力は整っている。
写真=BBM