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2018甲子園

「商業高校対決」を制した高岡商 郷土の誇りと全国の商業高校のために戦い続ける

 

両先発エースによる引き締まった好試合


高岡商が佐賀商を4対1で下し、「商業高校対決」を制して10年ぶりの初戦突破を遂げた


2018年8月6日
第100回=1回戦
高岡商(富山)4−1佐賀商(佐賀)

 8月2日、佐賀商・森田剛史監督は“複雑”な思いで“戦闘モード”に入ったという。組み合わせ抽選会で高岡商との「商業高校対決」が実現したからだ。

 今大会、この両校に加え、明石商(西兵庫)と高知商が代表校に名乗りを上げている。

「今回はウチを含めて4校。(商業高校を)応援しようと思っていたんですが……(苦笑)。まさか、初戦で当たるとは……。でも、勝負事ですからね」(森田監督)

 佐賀商は1994年夏、佐賀勢として初の全国制覇。96年に松山商(愛媛)が頂点に立って以降、商業高校の夏の甲子園優勝はない。それどころか、各地区とも私学が強化を推し進め、甲子園出場すら難しい状況となっている。

「(簿記などの)検定、検定……。こちらも、その指導に追われています。(高岡商に)聞いたら、同じ境遇同士とのこと。松山商、広島商も大変だと聞いています。私の現役時代とはまるで、違う。楽勝でしたから(苦笑)。今は、厳しい環境の中で頑張っています」(森田監督)

 一方、高岡商・吉田真監督はライバル心むき出しで語っている。

「商業対決ですが、公立校としても最近、私学に押されている。商業高校の存在を、全国に見せていきたい」

 前日は高知商が山梨学院とのシーソーゲームを14対12で制し、初戦突破。佐賀商・森田監督は「興味を持って見てしまう。うらやましかったです」と本音を漏らしながらも、大きな刺激を受けて、高岡商との1回戦に臨んだ。

 今大会は開幕から2日間、「打高投低」の展開が多かったが、この一戦は一転して高岡商の左腕・山田龍聖(3年)と佐賀商の右腕・木村颯太(3年)の両先発エースによる引き締まった好試合。終盤、打力が看板の高岡商が突き放した(4対1)が、佐賀商のキビキビした動きも印象的だった。

 攻守交代もスピーディーで、試合時間は1時間51分。大会主催者が推奨する高校生らしい「模範試合」に該当する内容であり、高岡商・吉田監督が強調していた「存在感」を全国へアピールするには十分だった。

 高岡商は10年ぶりの夏1勝。富山勢は全国47都道府県で唯一、夏の選手権4強進出がない。今夏、チームの合言葉は「負けているというイメージを払しょくしたい」だ。郷土の誇りと、全国の商業高校のために戦い続ける。

文=岡本朋祐 写真=写真=田中慎一郎
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