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2018甲子園

出場56校が出そろった甲子園。ドラフト注目選手たちへのスカウト陣の評価は?

 

NPBスカウトが今夏の甲子園視察を受け、複数球団が3人の野手を「S評価」とした(左から大阪桐蔭・根尾、報徳学園・小園、大阪桐蔭・藤原)


 8月5日に開幕した夏の甲子園、第100回記念大会。第8日目の第2試合を終え、出場56校がすべて出そろった。バックネット裏で視察するNPB12球団のスカウトにとっても、この28試合目を終えると一区切り。当日、もしくは近日中にスカウト会議を開くのが慣例となっている。

 高校生の場合は原則、地方大会が「最終判断を下す場」であり、甲子園は「確認の場」に過ぎない。甲子園には全国に配置されているスカウトが集結。担当スカウトはすでに、練習から視察を続けているわけであって、この大会の結果で評価が左右することは少ない。

 さて、今大会の傾向を複数球団に確認すると、「BIG3」に人気が集中した。・しかも、ドラフト上位クラスの「A評価」ではなく、1位候補を意味する「S評価」なのだ。つまり、2018年ドラフトの中心になることを意味する。

 その3人とは、大阪桐蔭・根尾昂(遊撃手兼投手)、同・藤原恭大(外野手)、報徳学園・小園海斗(遊撃手)である。

 広島苑田聡彦スカウト統括部長は「打つにしても、投げるにしても、走るにしても、3人は抜けています。特に小園。これからどんどん伸びそうな要素を兼ね備えている」と絶賛すれば、DeNA吉田孝司編成スカウト部長兼GM補佐も「3人は、順調に来ている」と実力に太鼓判を押す。

 中日中田宗男アマスカウトディレクターも「この3人は一言で言えば、総合力が高い。ホームランバッターは何年かに1人は出てきますが、攻守走3拍子そろった選手は毎年は出ない。しかも、3人は肩を並べている」と高いレベルであることを認めた。

 オリックス古屋英夫球団本部編成部副部長も小園に惚れ込んでおり「守備と脚力は一軍レベル。スタンドの観客をシーンとさせられる」と、そのスピード感にクギづけになった。

 大阪桐蔭で四番を打っている藤原については「プロでは一番タイプ。彼もベースランニングで、球場の空気を変えられる」と驚愕の声を上げれば、「根尾は投手も兼任していますが、入団したチームが決めればいい」と二刀流の可能性も示唆。中田アマスカウトディレクターも指摘したように、古屋球団本部編成部副部長も「投手は毎年のように好素材が出てきますが、このレベルの野手3人は3〜5年は出ないだろうと思います」と、唯一無二の存在であると認めた。

「S評価」であるとはいえ、高校生野手の場合、入団1年目から「即戦力」となるのはレアケース。とはいえ、長いスパンで見れば、「BIG3」のような将来性の高い野手を獲得するのは重要だ。投手とは異なり、年間を通じて出場するわけで、チームの「顔」となる可能性を秘めているからだ。2018年のドラフトは10月25日。大学生、社会人の候補選手を含めた1位指名の最終ジャッジはまだ当分、先の話である。

写真=毛受亮介
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