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都道府県別ドリームチーム

【青森県】投手の南部と打線の津軽/都道府県別ドリームチーム

 

いよいよ第100回の大きな節目を迎える夏の甲子園。その歴史にこそ届かないが、80年を超えるプロ野球を彩ってきた選手たちによる出身地別のドリームチームを編成してみた。優勝旗が翻るのは、どの都道府県か……?

甲子園のアイドルがエースに


近鉄・太田幸司


 本州の最北端に位置し、北は津軽海峡で北海道と隔てられ、東の下北半島、西の津軽半島が津軽海峡に食い込むようなU字型ともいえる独特な地形で、半島に囲まれるような陸奥湾は豊かな漁場となっていて、ホタテなどの養殖も盛んだ。

 夏は真夏日となることが珍しく、北海道のように観光地化されているエリアも少なく、絶好の避暑地と言えるが、冬は平野部でも積雪するところが多く、寒さも厳しい。本州の最果てに雪の降り積もる情景は旅情を誘い、津軽海峡の冬景色や遅い春を彩るリンゴの花びらなど、古くから歌謡曲の題材にも。同じ県内で仲が悪いことでも知られ、県庁所在地の青森市がある西部の津軽地方と、八戸市などがある東部の南部地方との遺恨は戦国時代にまでさかのぼる。

 そんな青森県出身のプロ野球選手でスターといえば、三沢高で甲子園を沸かせた太田幸司だ。

【青森ドリームチーム】
一(遊)外崎修汰西武)★

二(左)三上良夫(金鯱)

三(中)工藤隆人中日)★

四(右)長内孝広島ほか)

五(捕)細川亨楽天)★

六(一)葛西稔阪神

七(三)八重沢憲一日本ハム

八(二)佐々木明義巨人ほか)

九(投)太田幸司(近鉄ほか)
(★は現役)

 同じ県内でも何かと気を遣う青森県。エースには南部地方の太田を据えたが、1956年に青森県勢では最多の29勝を挙げて青森県勢で初めてタイトルホルダーとなったのも南部地方の三浦方義(大映ほか)。97年に最優秀中継ぎとなった橋本武広(西武ほか)も南部地方で、投手陣は南部地方が優勢と言える。

 ただ、司令塔が現役で津軽地方の細川亨だ。茨城県で育った工藤一彦(阪神)が現役時代の資料では青森県出身で、タイトルこそないが通算66勝は県勢では最多となり、バッテリーのまとめ役にもなりそう。貴重な左腕かつ津軽地方の投手が渋谷誠司ヤクルト)だ。

 一方の打線は、阪神で野村克也監督の奇策によりワンポイントで一塁を守る姿も印象に残る葛西稔を除いて、投手を野手として起用することは免れた。通算11安打のうち1本は本塁打という葛西が六番で、意外性のある打撃に期待。七番で続くのが、太田とともに三沢高で甲子園に出場し、プロでは通算10安打のうち3本が本塁打という八重沢憲一だ。

 八番がイースタンでは盗塁王の経験がある佐々木明義。捕手出身で2ケタ勝利2度の福士勇(ライオン)ら打撃もいい控え投手は、投打で出番に備えておく必要がありそうだ。

攻守の要は3人の現役選手


西武・外崎修汰


 打線の主力となる現役選手は津軽地方が優勢だ。リードオフマンは複数ポジションをこなしながら西武を支える外崎修汰。もともとは遊撃手で、ここでも内野の要として遊撃に入る。三番がユーティリティーの工藤隆人で、守っては中堅に入り、センターラインは現役がガッチリ固める。

 対照的にプロ野球の創設期に活躍した外野手で、古過ぎて投の左右についての記録も残っていないのが三上良夫だ。ここでは左翼に入り、二番打者として現役の2人をつなぐ。四番は広島黄金時代の長内孝。県勢で唯一の通算100本塁打を超えた打棒で、不動の四番打者として打線を支える。

 下北半島にはイタコの口寄せで知られる恐山があり、十和田地方にはキリストの墓があるなど、人智を超えた圧倒的な懐の深さ(?)も魅力の青森県。戦力はギリギリだが、奇跡が起きそうな雰囲気はある。1969年夏の甲子園を凌ぐ熱闘で、大金星をつかみたい。

写真=BBM
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