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ホークス80年

2014年、勝てば優勝の最終戦 オリックスと「最後の天王山」/ホークス80年「栄光の歴史09」

 

1938年3月1日、南海野球株式会社が設立されたから80年が経過した。47年にチーム名が南海ホークスとなり大阪で黄金時代を築いたチームは現在、九州・福岡の地でダイエーを経て、ソフトバンクホークスとして栄華を誇っている。プロ野球史に燦然と輝くホークス。その栄光の歴史を週刊ベースボールONLINEで振り返っていこう。

巻き返しの年となった2014年


2014年、リーグ優勝を果たして胴上げされる秋山幸二監督


 ダイエー時代の2003年に日本一に輝き、翌04年もレギュラーシーズンでは勝率1位だったものの、その年から始まったプレーオフで西武に敗れ2位。ソフトバンクとなった05年も勝率1位、プレーオフでロッテに敗れると、その後も毎年優勝候補に挙がりながら優勝から見放されたホークス。08年に王貞治監督が勇退し、09年に秋山幸二監督が就任。10年に7年ぶりのリーグ優勝を果たしたものの、クライマックスシリーズでシーズン3位のロッテに敗れ日本シリーズ進出を阻まれた。

 11年は11年ぶりのリーグ連覇を果たし、クライマックスシリーズも無傷で突破。中日との日本シリーズは第7戦までもつれ込んだが、4勝3敗で8年ぶりの日本一に輝いた。だが、その年のオフ、エースの和田毅杉内俊哉、内野の要の川崎宗則がFA権を行使し移籍。19勝で最多勝を獲得したホールトンも巨人に移籍と戦力が大きくダウン。12年は日本ハム、13年は楽天に覇権を奪われ、その年はBクラスに転落した。

 巻き返しの年となった14年は、日本ハムからウルフ、阪神からスタンリッジ、西武からサファテと3人の外国人投手、オリックスから大砲・李大浩を獲得。FAで中日から先発の中田賢一も入団。チームの並々ならぬ意欲がうかがえた。

 開幕のロッテ3連戦で3連勝と好スタートを切り、5月中旬には貯金は2ケタの12とするが、交流戦前の2位・オリックスとの3連戦に3連敗し首位陥落。それでも交流戦を14勝8敗2分けの2位で乗り切り、首位のオリックスを追走した。オールスターを挟んでオリックスとのつばぜり合いは続いたが、8月2日から9連勝。一時はオリックスに4.5ゲーム差をつけたが、15日からの直接対決を1勝2敗と負け越した。

 1.5ゲーム差で迎えた9月2日からの直接対決を2勝1分けで乗り切り、いよいよVへのラストスパートと思われたが、7日から月末まで4勝14敗と大失速。オリックスももたついていたため首位の座だけは明け渡さなかったが、試合数の関係でマジックが出たのはオリックスだった。

劇的に決めた3年ぶりのリーグ制覇


松田のサヨナラ打でオリックスとの激闘を制し、リーグ優勝


 10月に入りソフトバンクは残り1試合で77勝60敗6分け、勝率.562。オリックスは78勝59敗2分け、勝率.561でゲーム差はなし。2日、運命の最終戦はオリックスとの直接対決(ヤフオクドーム)だった。ソフトバンクが勝てば優勝、オリックスが勝てば、残り2試合でマジック1が点灯。それまでの対決は11勝11敗1分けの五分で、まさに「最後の天王山」だった。

 ソフトバンクは故障から復帰し後半にローテーション入りした左腕・大隣憲司、オリックスはディクソンが先発。2回裏、ソフトバンクは一死二、三塁から細川亨の犠飛で先制。大隣は6回まで4安打、無四球に抑える好投を見せ、リリーフ陣に終盤を託した。

 7回表、森唯斗が二死二塁から代打・原拓也にタイムリーを打たれ同点。8回表は、五十嵐亮太が二死一、二塁のピンチを迎えるが、ペーニャを遊ゴロに取り無失点。ともに譲らない攻防が続き、1対1のまま延長戦に突入した。

 10回表、9回から登板していたサファテが二死満塁のピンチを迎えたがペーニャを遊邪飛に打ち取り踏ん張った。その裏、先頭の柳田悠岐が四球で出塁、今宮健太が送り、続く三番の内川聖一は敬遠。李大浩も四球で一死満塁。このチャンスに松田宣浩が左前にサヨナラタイムリーを放ち3年ぶりのリーグ制覇を劇的に決めた。

 この優勝は移籍組の活躍が不可欠だった。スタンリッジ、中田賢一はチーム最多の11勝。サファテはストレートの球速が戻り守護神として37セーブをマーク。李大浩はチーム最多の19本塁打を放った。また新鋭の柳田がリーグ3位の打率.317を記録し、中村晃、内川、李大浩、長谷川勇也と5人の3割打者を輩出した。

 クライマックスシリーズは日本ハムに3勝3敗とタイに持ち込まれるが、最終戦で大隣が7回無失点と好投し4対1で快勝。日本シリーズはセ・リーグ2位の阪神との対決となり、初戦は落としたものの第2戦から4連勝し日本一となった。クライマックスシリーズ前に秋山監督の勇退が発表されたが、日本一になった監督の退任は、54年の中日・天知俊一以来60年ぶりのことだった。

<毎週金曜公開予定>

写真=BBM
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