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U-18侍ジャパンリポート

プロか進学か――。吉田輝星のベストな選択は?

 

プロか進学か――。金足農・吉田は進路について明言をしていない。プロサイドとしては「プロ志望届」を提出してほしいと願っている模様だ


 現状の「実績」ならば、10月25日のドラフトで1位入札競合の可能性もあるという。今夏の甲子園で準優勝に輝いた金足農・吉田輝星のNPBスカウトの評価である。

 大阪桐蔭との甲子園決勝後「いずれはプロでやりたい」と、明確な意思表示をしなかった吉田。夏の秋田大会を迎えるまでに一度は「大学進学」で固めていたようだが、甲子園での活躍を経て、状況は刻一刻と変わってきている。「あとは、本人次第」というのが大方の声。あくまで「待つ身」のプロ関係者だが、その決断が気になって仕方ないようだ。

 8月25日、高校日本代表18人の一員として東京近郊で直前合宿をスタート。しかし、吉田は秋田大会、甲子園の疲労から完全別メニューが続く。アジア選手権の舞台となる宮崎へ入る29日まではマイペース調整を進めていくプランだという。

 25日の練習を視察したあるベテランスカウトは実戦復帰を、首を長くして待っている。

「桑田(真澄、PL学園、1985年)、松坂(大輔、横浜、1998年)も甲子園後も変わらず、頼もしい投球をしていた。果たして、吉田は元気にほうれるか。回復力、体の強さも素材の一つだと思います。宮崎でも甲子園のようなボールを投げたら、これは大変ですよ!!」

 なぜ、プロが吉田を獲得したいのか。魅力は言うまでもなく、ストレートにある。

「ロー、セカンド、サード、トップ。ギアを入れ替える投手なんて、見たことがありません。投手としての感性が素晴らしい。下から浮き上がってくる球質は、(今年のドラフト候補の)大学、社会人を含含めてもNo.1。高めのストレートでも空振りが取れますから。(ドラフト1位の)12人? 入ってくる」

 別の中堅スカウトは「このタイミングで行くのが一番良い」と、高卒でのプロ入りを強く勧める。それは、なぜか? 「4年後に同じ評価で行ける保証はない」。大学進学すれば、人としての幅を広げることはできる。いずれは現役選手を終えるのであって、長い人生を見据えた上でも、4年間は貴重な時間となる。ただ、一方で、投手としてのパフォーマンス力アップがどこまで、期待できるか。

 あるアマチュア関係者からは「大学でドラフト指名されないレベルの選手が、高校で指名されても、プロでは活躍できない」との声も聞かれる。

 正解はだれにも分からない。

 本人の意思が一番、大事だ。吉田は何らかの背景で、「大学進学」で心を固めた時期があったはず。周囲の喧騒には流されず、もう一度、落ち着いて考える時間が必要かもしれない。

文=岡本朋祐 写真=松田杏子
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