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【MLB】ドジャースは地区5連覇で終止符!?平野がいるダイヤモンドバックスの層の厚いブルペン

 

強力なブルペン陣を作り上げたダイヤモンドバックスは、補強を行いさらに強力に。平野の負担も少なくなり、効率よくなりチームにもいい影響を与える。5連覇中のドジャースの6連覇を阻止できそうなところまできた!?


 ダイヤモンドバックスの平野佳寿が現地時間8月14日のレンジャーズ戦、8回裏一死走者一塁の場面で登板。三番、エルビス・アンドラスを内角フォークで投ゴロ併殺打に打ち取り、勝利に貢献した。これでチームは66勝55敗でナ・リーグ西地区首位。ブルペン崩壊で5連敗中のドジャースに2ゲーム差をつけていた。

 MLBのリリーフ投手のゴロによる併殺数ランキングを見ると、3位が13個のT・J・マクファーランド、4位が12個のブラッド・ジグラー、6位が11個の平野とダイヤモンドバックス勢が上位を占める(データは8月14日現在)。チーム総数でも54個でMLB1位だ。

 本拠地チェース・フィールドはボールがよく飛ぶ球場で、フライが上がれば本塁打になる確率が高いと言われてきた。そこで首脳陣はゴロを打たせるのが得意な投手を集めた。平野もその一人である。クイックでタイミングをずらし、まっすぐとフォークの緩急で、緩いゴロを打たせる。チームのゴロアウトの数をフライアウトの数で割った数値1・33はリーグ1位だ(30位のタイガースは0・85でフライアウトのほうが多い)。

 その上で今季からヒューマドー(給湿器)を本拠地球場に備えたことで、ボールは以前ほど飛ばなくなった。今季ここまでブルペン投手の防御率は3.14でメジャー全体2位。クローザーのブラッド・ボックスバーガーは防御率3.46とよくないが、フォーシームとチェンジアップのコンビネーションで空振りを奪うタイプ。9回あたり12・5個と三振奪取率が高い。97マイル(約155キロ)の真っすぐを誇る豪腕アーチー・ブラッドリーはブルペンのエース格で被打率・196。終盤、相手の主力に当てられる。

 興味深いのは、トレードデッドライン前に、ブルペンをさらに補強したこと。長身左腕で角度のついた真っすぐとキレ味鋭いスライダーで三振を奪うジェイク・ディークマン、先発リリーフの両方ができるスイングマンのマット・アンドリース、前述のジグラーは右のサイドスローでゴロを打たせるタイプ。彼もトレード組である。

 平野は前半戦登板過多でシーズン75試合ペースだったが、層が厚くなったことで休みをとりながら登板できる。これだけ手コマが多彩ならトロイ・ルブロ監督がうまくマッチアップすれば、試合終盤を有利に戦える。ルブロ監督も「5回が終わってリードしていたらリードを保てる気がする」と満足気に話していた。

 一方、ライバルのドジャースはクローザー、ヘンリー・ジェンセンを不整脈で離脱以来、ブルペン崩壊で8月10日から5連敗。8月14日は配置転換した前田健太を9回1対1の場面で、予定より1日早くリリーフさせたが、決勝点を許した。先発で100球を投げてから中3日、体が回復しきっていなかった。「球は行かない。自分の感覚とは全然違うボール。中3日でいつもより状態を良くするのは不可能に近い」と悔しそうに話した。

 ドジャースはリリーフ投手の防御率は2016年がリーグ1位、17年が4位だったが、今季は15位と低迷。ナ・リーグ西地区5連覇中だが、手駒豊富なダイヤモンドバックスにピリオドを打たれそうなのである。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
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