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週刊ベースボール60周年記念企画

長嶋茂雄、偽の婚約会見騒動/週べ1963年11月25日号

 

 今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

不機嫌な阪神・小山正明


表紙は左から西鉄・中西太稲尾和久



 今回は『1963年11月25日号』。定価は40円だ。

 西鉄を破って日本一となった巨人は、東映と帯同で東北での秋のオープン戦真っ只中。各地大盛況だったようだ。
 
 一番の注目は首位打者、打点王でシーズンMVP、日本シリーズでも3本塁打、打率.360でMVPとなった長嶋茂雄。27歳とあって嫁取り話も賑やかだった。

 折しも巨人事務所と名乗って各新聞社に「あすの午後5時から帝国ホテルで長嶋選手の婚約会見を行います」と電話があったが、何だか要領を得ず、いかにも偽電話っぽいものだったらしい。
 一応、11月10日夜、東北遠征から巨人ナインが戻る汽車が上野駅に着くので、各社の記者が確認のため張り込んだ。

 すると長嶋、「私が婚約発表? そんなわけないでしょ」と驚きながらも「せっかくだから帝国ホテルに行きましょうか」と笑っていた。

 なおシーズン中は「まったく考えない」と言っていた三冠王だが、オフにはなると少し正直に(?)なって、
「あのときは三冠王を狙っていたのですよ。ワンちゃん(王貞治)にはホームランで2本の差を着けていたかな。調子もよかったし、ホームランさえ出ればいけるかなと思った矢先だったんですが」
 と9月に阪神・バッキーから受けた死球を悔しがっていた。

 各球団のストーブリーグも活発化。大毎と阪神の球団首脳部の接触が明らかになっており、新聞では「小山正明トレード」とデカデカと載っている。

 当の小山は、記者に対し、
「そういうことについて話したくない。だいたい、そんな噂は、あんたらの仲間で勝手に作り上げて、書いているんだろ。だから、僕はそんな話をいっさいしたくない。否定しても肯定しても、僕の立場は悪くなるばかりだからだ」
 と不機嫌そのものだった。

巨人多摩川トレーニング



 今回の2枚目の写真は、東北遠征に参加せず、多摩川で残留練習を行った巨人ナイン。左下の国松彰は懐かしいエキスパンダーを使っている。

 まあ、こんな感じで呑気な写真を使っていくと思うので、あまり2枚目に期待しすぎないようお願いします。

 では、またあした。
<次回に続く>

写真=BBM

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