週刊ベースボールONLINE

編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

ヤクルトをよみがえらせた青木宣親の見えない力

 

現在は二番打者として力を発揮


 ペナントレース終盤戦、ヤクルトはセ・リーグCS進出争いの中心にいる。チームをよみがえらせた功労者は数多くいるだろうが、その一人が青木宣親だ。かつて200安打を2度達成し、首位打者を3度獲得。メジャー・リーグで6シーズンにわたりプレーした後、7年ぶりに古巣復帰を果たした。シーズン序盤こそ日本野球へのアジャストに苦しんだが、徐々に本来の実力を見せ始める。6月には打率.388、4本塁打、22打点の活躍で月間MVPに輝く。7月も月間打率.370をマークした。

 攻撃面での存在感とともに注目されたのは、そのリーダーシップ。開幕前日の全体ミーティングでは自ら口を開き「長いシーズン、悪いときもある。そういうときは『しなくちゃいけない』と『MUST』で考えるのではなく、『CAN』、『俺たちはできるんだ』と考えよう」とメジャー帰りらしく、英語を交えたスピーチでナインを鼓舞した。

 8月4日の阪神戦(京セラドーム)はシーソーゲームだった。延長11回に1点を勝ち越したものの、その裏に痛恨の逆転サヨナラ負けを喫した。試合直後、ベンチ裏で青木が「野手は集合しよう」。気が沈みかけた野手陣を集め、「明日も試合があるし、切り替えてやろう」と声をかけた。36歳の青木は「自分の立場は分かっている。チームがいい方向に行くように持っていきたい」と古巣への愛情を口にした。

 9月5日の中日戦(神宮)では値千金の3ランを放ち、チームの逆転勝ちに貢献。しかし7日のDeNA戦(横浜)で背中の張りを訴え途中交代し、翌8日の同カードを欠場。それでも本人は「様子を見てから。良くはなっていると思う」と前向きに語る。勝率5割を行き来するチームには欠かせぬ存在だけに、その状態が気がかりとなる。

文=富田 庸 写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング