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1000試合登板目前!! 中日・岩瀬仁紀の心の内とは?

 

1990年代後半から2000年代の中日黄金期を支えたエース・川上憲伸と、今なお現役で1000試合登板へ残り4試合に迫る岩瀬仁紀


 前人未到の通算1000試合登板へ、最後のカウントダウンが始まった。
 
 8月21日の阪神戦(ナゴヤドーム)で991試合登板とし、残り9とした試合後には「意識していますって言わせたいの? 言うわけないじゃない。あと9試合(今シーズン中に)投げるかどうかも分からないのに……」と本気ともジョークとも取れるコメントで周囲を笑わせていた鉄腕・岩瀬仁紀だったが、9月11日の阪神戦(甲子園)で996試合登板とし、いよいよ残り4試合となった。

 この日の試合では1点ビハインドの8回裏にマウンドに登り、見逃し三振、空振り三振、キャッチャーフライと、パーフェクトリリーフ。直後の逆転劇を呼び込んで、通算59勝目(今季2勝目)を手にしている。現在の中日の苦しいブルペン事情では、11月に44歳を迎える球界最年長左腕の力は不可欠。チームは14試合を残しているため、今季中の達成がいよいよ現実味を帯びてきた。

 周囲が騒がしさを増す中で、幾多の修羅場をくぐり抜けてきた当の本人はいたって冷静だ。その心の内をズバリと解説してくれたのが、00年代の中日黄金期をともに支えた川上憲伸氏(1990年代後半から00年代を支えた中日エースで、岩瀬とは同世代/川上氏=75年生まれ、岩瀬=74年生まれ)だ。

 いわく、「岩瀬さんはコツコツと積み上げていくタイプで、おそらく1000試合登板も通過点としてしか考えていない。そもそも、そこの評価を岩瀬さん自身も望んでいないと思います。何と言うか、勲章を勲章と思わない人。記録だからといって、『あまり騒いでくれるなよ』と思っているはずですよ(笑)」。

 そんな“川上分析”を聞いていた岩瀬の見解はこうだ。「憲伸の言うとおりでもあるけど、そもそも僕は、自分自身に興味がないから……。1000試合と言われても、ね。できればあまり騒いでほしくないし、報道も過熱することなく控えてほしいですね(笑)」。

 9月11日時点で996試合登板はもちろん、406セーブも偉大な日本記録。投げるたびに記録を更新し続けるわけだが、1000試合登板達成の際には、残念ながら本人の意向に関わらず、日本中の野球ファンが盛り上がることは確実だろう。そして川上氏の「とことん続けてください」に「先にやめた人間が簡単に言うなよ」と答えた岩瀬だが、“通過点”は否定しなかった。果たして、どこまで記録は伸びるのか。期待したい。

文=坂本 匠 写真=BBM
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