プレーで、そして背中で示すチームへの貢献。シーズンが終盤戦を迎える中で、各チームの現役最年長選手たちはどんな役割を果たしているのか。セ・リーグ6球団の“チーム現役最年長選手”の現状を見ていこう。 広島カープ
ついに20年の現役生活に別れを告げることを決めた。カープの現役最年長、41歳の新井貴浩は9月5日、「若手が力をつけてきているし、2、3年後、5年後のカープを考えたときに、今年がいいんじゃないかなと考えた」と、今季限りでの引退を発表した。チームは球団史上初の3連覇へマジック減らしの最中。順調に行けば、胴上げ、CS、日本シリーズが待つ。「日本一になって、うれし涙で終われたら最高」。最後まで全力で戦い抜く。
読売ジャイアンツ
昨年オフにカブスをFAとなってからメジャーを最優先に所属先を探していた上原浩治(43歳)の、10年ぶり日本球界復帰が決まったのが3月9日のこと。メジャーでの実績を買われ、開幕一軍、しかも勝利の方程式入りを期待されたが、この春はキャンプを経ていないこともあって状態が上がらず、苦しいシーズンとなってしまった。7月20日の広島戦でホールドを挙げ、日本人では史上初(世界では2人目)となる日米通算100勝100セーブ100ホールドを記録したが、直後に不振のため二軍落ち。その後は二軍で調整し、8月25日に再昇格後は6戦3ホールドと状態を上げている。
阪神タイガース
今季41歳の福留孝介は攻守に元気そのものだ。右ふとももの張りで4試合を欠場したが、9月16日の
DeNA戦(横浜)では代打で登場し、中前打を放ってしっかりと結果を残した。今季も開幕からクリーンアップを打ち、打の中心として若手の多い打線をけん引している。今季も2年連続で主将を務め、チームの精神的支柱としてなくてはならない存在。41歳ながらまだまだ阪神には必要不可欠な選手なのだ。
中日ドラゴンズ
中日の最年長は、今年44歳になる岩瀬仁紀だ。今シーズンはコーチ兼任契約だったが、コーチ登録枠の関係でコーチ登録は解除。それでも、最多登板、最多セーブを誇る岩瀬が若手投手の手本になることは間違いない。左の中継ぎ不足のチームにおいても岩瀬は貴重な存在で、今シーズンはすでに44試合に登板し、2勝0敗2セーブ9ホールドを挙げている。注目すべきはこの「0敗」。たとえ同点打を許しても、勝ち越しを許した試合はない。9月16日の巨人戦(東京ドーム)では、プロ20年目にして初めて満塁弾を浴びたが、同日時点で998試合登板となった。前人未踏の1000試合登板まであと2試合。鉄人がさらなる偉業を成す日も近い。
横浜DeNAベイスターズ
プロ16年目、38歳のG後藤武敏は2012年のチーム加入以来、勝負強い打撃で何度もチームを勝利に導いてきた。
石川雄洋、
筒香嘉智ら横浜高の“兄貴分”としても頼りになる存在だった。ここ数年は代打1本で勝負してきたが、出場機会が減り今シーズン限りでの引退を決意。横浜高3年時には
松坂大輔らとともに甲子園春夏連覇を成し遂げ、プロ入り後も「松阪世代」として、注目を浴びてきた。「彼らと同じ世代としてプレーできたことは自分にとって幸せでした」と引退会見では清々しい表情を見せた。
東京ヤクルトスワローズ
昨季に味わった悪夢の11連敗から、力強く立ち上がった。今季はここまで6勝6敗と五分ながら粘り強い投球を見せている。8月12日の中日戦(ナゴヤドーム)では7回までノーヒットノーランの快投を見せた。8回に初安打を許し、失点してマウンドを降りたが、今季最長イニングを投げた。球の速さこそないが、緩急を駆使し、コースを突く投球で息の長いプロ野球人生を実現。9月に入り2連敗と失速気味だが、勝負のCSへ向け巻き返したい。
写真=BBM