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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

3度目のトリプルスリー目前のヤクルト・山田哲人が目指す場所

 

シーズン最終盤に入っても打撃好調は変わらず



 記録ずくめのシーズンとなりそうだ。山田哲人が9月19日の阪神戦(神宮)で、自身が持つ球団記録のシーズン119得点に並んだ。

 ゆっくりとホームに生還した。一番・坂口智隆が敵失で出塁し、二番・青木宣親が左中間を破る適時二塁打で同点に追いついた直後、打席に入った。岩貞の外角直球をとらえると、打球は左中間席へ飛び込み、勝ち越し2ランとなった。9月9日以来の一発に、打った本人は「走者をかえすことを考えていたが、最高の形になった」と振り返った。

 2016年から、かつて若松勉池山隆寛、青木宣親らが背負ってきた「ミスタースワローズ」の称号である「背番号1」を背負っている。その年、史上初の2年連続2度目のトリプルスリーを達成したが、主力に故障者が続出した昨季は、まさかの打撃不振に陥った。「山田が打たないと勝てないと言われる」。球団ワースト96敗の責任を一人で背負い込んだ。

 迎えた今季、「トリプルスリー」を目標として公言してきた。自らにプレッシャーをかけ、もちろん、そのための準備も怠らない。秋季キャンプ、自主トレ、春季キャンプを通して自らの「理想のスイング」を固めてきた。そして、強力なバックアッパーも現れる。自分の前に「背番号1」を背負っていた青木宣親の存在も大きかった。「青木さんは常に前向きな言葉をかけてくれる」と感謝する。

 四番・バレンティンは9月19日現在、118打点でタイトル争いのトップに立っている。主砲の一打により、山田哲が何度もホームに生還してきた。さらに雄平、西浦ら後続の打者たちの好調ぶりも見逃せない。昨季のように主力が欠け、相手投手のマークが山田哲に集中することはなくなった。

 2位の地位を固め、3位に差をつけつつある。CSファーストステージの神宮開催も視野に入ってきた。得意とする自らの“庭”で、山田哲のバットが再び火を噴くか。屈辱的な敗戦からの「再起のストーリー」には、まだ続きがありそうだ。

文=富田 庸 写真=BBM
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