完全復調の兆しを見せる杉浦。CSでも登板のチャンスはありそうだ(写真は前回の帯広凱旋登板でのもの)
パ・リーグを席巻した
西武の強打者たちが、思わず天をあおぐ。
秋山翔吾が、
栗山巧がアウトコースギリギリにコントロールされた、スピンの利いた
日本ハム・
杉浦稔大の真っすぐに次々とバットが空を切った。
9月30日の日本ハム対西武戦(札幌ドーム)。マジック「1」で西武が勝てば優勝という試合で、意地を見せつけたのが日本ハム移籍2年目の杉浦だ。8月1日の
ロッテ戦(帯広)での登板後に右肩のコンディション不良から復帰し、約2カ月ぶり、今シーズン3度目のマウンドで抜群の存在感を発揮した。
杉浦の最大の武器は、糸を引くようなストレート。球速こそ目を見張るものはないが、対峙するバッターたちが振り遅れて空振りを喫する。この日も西武の並み居るバッターたちが首をかしげては、打ち取られる場面が何度もあった。終わってみれば5回までに許したヒットは3本のみで失点はゼロ。マジック対象チームの2位
ソフトバンクが勝ったため、西武の優勝は決定したが、気迫あふれるピッチングで西武の打者たちに強烈なインパクトを与え、一矢を報いた。
高橋憲幸投手コーチも「強い真っすぐが投げられている。あのコースに投げていれば大崩れすることはない」と評価し、杉浦も「(真っすぐには)こだわっていきたいですし、これからもっと長いイニングを投げたい」と白い歯を見せた。
かつては大学球界を沸かせた2014年のドラフト1位右腕。
ヤクルトでは度重ねるケガで結果を残すことはできなかったが、ケガさえなければエース級の活躍が見込めるポテンシャルは十分。CS突破のキーマンになりそうな予感がいま漂ってきている。
文=松井進作 写真=高原由佳