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週刊ベースボール60周年記念企画

巨人・王貞治の4打席連続ホームラン/週べ1964年5月18日号

 

 今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

パチンコ玉が入ったグローブ


表紙は巨人王貞治




 今回は『1964年5月18日号』。定価は前号まで2号連続増大号で10円上がっての50円だったが、この号から50円が新定価となった。
 
 23歳、巨人の王貞治のバットがうなりをあげている。

 5月3日、後楽園で行われた阪神戦だった。

 王はまず初回、阪神・太田紘一から右翼場外へ14号、4回、同じく太田から右翼上段に15号、6回、若生智男から右翼上段へ16号。そして最後は本間勝から右中間中段に17号。

 1試合4打席連続本塁打は史上初の快挙だった。長嶋茂雄は「中西さん(太。西鉄)が怪童なら王は怪物だね」と語った。
 
 試合後、王は幾重にも囲んだ報道陣の質問ににこやかに答える。
「そりゃ、4打席目は意識しましたよ。そのうえ本間さんの球がすごく速いんですよ。これはダメだなと思っていたが、当てることに神経を集中したからよかったんでしょう。一番いい当たりでしたよ。最高だったな」

7回、本間勝からこの日4本目の17号


 早実の先輩でもある打撃の天才、東京・榎本喜八も絶賛する。
「いまの王ならどんな球でも打てる。ゴロにならない限り、全部がホームランになる気がする。本人もそう思っているに違いない。こんなときがあるのだよ」

 5打席連続が期待された5月5日の広島戦では、中学時代から王のライバルだった大羽進の前に一塁ライナーに終わった。

 実は、この試合で広島は驚くべきシフトを敷いたのだが、それはこの号には掲載されていなかった。

 少し小ネタも。国鉄のコーチになっていた松竹ほかのホームランバッター、小鶴誠が、現役時代のグラブについて語っていた。外野手と一塁手が多かったが、たぶん外野手用ではないか。「ほんとか」と聞かれても、書いてるものを抜粋しただけだから何とも言えない。

「ワシらもグローブに細工をほどこしたことはあるよ。指の先にパチンコの玉を入れとくんじゃ。そうするとボールが入った瞬間、玉の重みで指が内側に折れ、絶対にこぼれなかった。フライを捕ると、ぱちぱちという音がして楽しかったよ」
 
 では、また月曜日に。

<次回に続く>

写真=BBM

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