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“幕張の現役レジェンド”福浦和也が2000安打の次に見据えるターゲットとは!?

 

9月9日にメットライフで約3年半ぶりの一発を放った福浦。次にマリンのダイヤモンドを一周するのは果たしていつか


 通算2234試合目、7951打席目にして史上52人目となる2000安打を達成した“幕張の安打製造機”、ロッテ福浦和也。42歳9カ月での大台到達は史上2番目の年長記録であり、プロ25年目での偉業だった。

 その1996安打目は、福浦にとっても久々の一撃だった。9月9日、メットライフでの西武戦。今井達也のストレートをとらえると、打球は右翼ポール際へと吸い込まれる。2015年4月9日のオリックス戦で東明大貴から2本塁打を放って以来、約3年半ぶりとなる一発に、少し驚きの表情を浮かべながら悠々とダイヤモンドを一周……していたように見えた。

「あれはもう、まぐれ(笑)。行っちゃったかな、あ、行っちゃったっていう感じでしたね。本当にバッティング練習のように振って、バッティング練習のようなホームランだったので」

 打撃練習なら今でもサク越えはできる。ただ、実際の試合となると簡単ではない。打った瞬間の感触もなかったという。「僕らしくないホームランですね」と笑った。

 敵地とはいえ、試合の時間が止まり、ダイヤモンドを一周する感覚はどうだったのかと問うと、「久々過ぎて、緊張しました」とまた笑った。「なかなか一周することはなかったんで。昔はありましたけど。どれくらいのスピードで走っていいのか分からなかった。もうちょっと速く走ったほうがいいのかなって」。

 悠々とダイヤモンドを一周……しているように見えただけだった、というわけだ。しかし、久々の本塁打でまた“欲”も生まれた。「次はマリンで打ちたいね。(3年半前も)京セラドームだったから」。

 そう、東明から放った2発も敵地でのものだった。では、千葉での最後の一発はいつだったのかというと、2011年の開幕直後までさかのぼらなければならない。4月14日の楽天戦。本拠地の名称はまだQVCマリンだった。

 もちろん、福浦が現役続行を決意した最大の理由がここにあるわけではない。2018年は打撃コーチ兼任でスタートしたが、その部分では思うように役割を果たせないままシーズン途中で兼任の肩書きは外れた。

 若手にバッティングをしっかりと教えていきたい。個人記録に一区切りがついた瞬間から、その思いが強くなっていった。そして、いっしょにグラウンドに立ち、いっしょに練習をして、いっしょにバッティング練習をするからこそ、伝えられるものがあると思っている。

 それでも、「マリンでもう一度ホームランを打ちたい」という小さな“欲”は、選手・福浦にとって程よい刺激、適度なモチベーションになっていくのではないか。「テラスもできるしね」とおどけたように、来季からZOZOマリンには「ホームランラグーン」という名のいわゆるホームランテラス席が設置される。

 2019年シーズン、テラスの設置も追い風にして8年ぶりの地元での一発が飛び出すのか。そのときは、2000安打の瞬間に匹敵するようなファンの爆発がマリンに沸き起こるはずだ。

文=杉浦多夢 写真=BBM
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