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CSファイナルステージ初戦で完敗。巨人の勢いは消えたか?

 

10月17日のCSファイナルステージ初戦、巨人広島相手に1対6と完敗を喫した


 今季の広島対巨人の対戦成績は、勝率5割以下ながらリーグ3位を死守した巨人の7勝17敗1分け。CSファイナルステージの舞台となるマツダスタジアムでは、リーグ王者を相手に2勝9敗1分けと、苦しい戦いを強いられている。

 そのマツダスタジアムでのCSファイナルステージ第1戦を前に、「普段着」、「自分たちの野球」を強調した緒方孝市監督以下広島ナインに対し、2位・ヤクルトを下してファイナルの舞台に立った巨人に求められていたのは、「どんな形でも勝つ」こと。何せ「普段着」では10も負け越している相手である。レギュラーシーズンどおりでは、何も変わらない。追いかける立場の挑戦者には、大胆な変化が不可欠。短期決戦ならばなおさらだ。

 すでに明らかになった高橋由伸監督退任が影響しているのだろう。「違い」が少しだけ見えたのがCSファーストステージだった。

 ヤクルトと戦った巨人は、レギュラーシーズンとは異なり、第1戦は攻撃(7回表、無死一塁からヒットエンドランで得点)にしても投手交代(5回二死二塁の場面で先発・今村信貴から経験豊富な上原浩治にスイッチ。回をまたいで3奪三振、打者4人をピシャリ)にしても、ベンチが積極的に動いて勝利。続く第2戦はエース・菅野智之がCS史上初のノーヒットノーラン。2連勝と勢いに乗り、これ以上ない形で広島と対戦する権利を得ている。

 こうして始まったCSファイナルステージ第1戦。巨人にはまだ勢いがあった。初回に先頭の坂本勇人が中前打で出塁するまで、だが。

 続く二番・田中俊太に対し、広島先発の大瀬良大地は2球続けてボール。すかさず内野手がマウンドに駆け寄った直後のカットボールはストライクで、2ボール1ストライクからの4球目だ。一塁走者の坂本勇人がスタート。しかし、田中が真ん中やや内寄りのカットボールをファウルにしてしまう。これが痛かった。続く5球目の直球を打たされて併殺打。ミスはつきものとはいえ、最低でも走者を進めたい場面である。この裏の広島の攻撃では、無死一塁から逆に菊池涼介にヒットエンドランを許して一死一、三塁とされ、丸佳浩の二ゴロの間に先制点を献上している。巨人にとっては痛恨の、試合から遠ざかる広島にとっては落ち着きを取り戻すには十分な初回の攻防だった。

 これ以降は、広島に普段着野球を許す。4回には鈴木誠也の2点本塁打などで3失点。巨人は6回に1点を返したものの、7回には丸にダメ押しとなるソロを浴び、是が非でも欲しかった初戦を落とした。

 完全なる力負け。しかし、昨季のファイナルステージも3位から日本シリーズに進出したDeNAは、初戦を落とした後、4連勝で広島を下している。第2戦、巨人は今季2勝8敗と振るわず、ポストシーズンにかける田口麗斗が先発する。ここを乗り切れば、第3戦は中4日で菅野の先発が濃厚。ポイントはエースへのバトンの託し方。CSファーストステージのように、再び良い形でつなげるか。ベンチワークに注目したい。

文=坂本 匠 写真=BBM
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