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ドラフト会議物語

【ドラフト会議物語53】日本ハムがまたもサプライズの大谷翔平指名!藤浪晋太郎が阪神、菅野智之は念願の巨人へ【2012年】

 

今年は10月25日に行われるドラフト会議。毎年、金の卵たちが、どの球団へ進むか大きな注目を集める“一大イベント”で、さまざまなドラマも生まれる。今年で54年目を迎えるドラフト会議の歴史を週刊ベースボールONLINEでは振り返っていく。

正面からの強行突破


日本ハムの強行指名に複雑な表情を見せた大谷


2012年10月25日
第48回ドラフト会議
(グランドプリンスホテル新高輪)

[1位選手]
DeNA     白崎浩之 (駒大)  
オリックス  松葉貴大 (大体大)
阪神     藤浪晋太郎(大阪桐蔭高)
ロッテ    松永昂大 (大阪ガス)
広島     高橋大樹 (龍谷大平安高)
楽天     森雄大  (東福岡高)  
ヤクルト   石山泰稚 (ヤマハ)
ソフトバンク 東浜巨  (亜大)
中日     福谷浩司 (慶大)
西武     増田達至 (NTT西日本)
巨人     菅野智之 (東海大)
日本ハム   大谷翔平 (花巻東高)

 目玉は4人の投手だ。高校生では藤浪晋太郎、大谷翔平、大学生が東浜巨、菅野智之。「菅野が大学生」に違和感がある人もいるかもしれないが、前年の日本ハムの1位指名を拒否した後、社会人に進むのではなく、卒業延期により“最短距離”でこの日を待った。

甲子園で名を上げた藤浪は、甲子園が本拠地の阪神が1位指名


 さらに言えば、もしかしたら「藤浪、大谷」の順に違和感を持つ方もいるかもしれない。当時、甲子園春夏連覇を果たした藤浪の評価は、大谷とほとんど同じだった。藤浪はオリックス、阪神、ロッテ、ヤクルトで競合し、甲子園が本拠地の阪神に。背番号もすぐ19と決まった。

 大谷は日本ハムが“一本釣り”の指名。これは前年の菅野同様、大きなサプライズ指名だった。大谷が10月21日、メジャー挑戦を表明していたからだ。ただ、なかば“だまし討ち”だった菅野のケースとは違い、「No.1選手を指名するのが球団方針」と事前に大谷の強行指名を明言。いわば正面からの強行突破である。

 大谷は「指名されることはないと思っていた」と語り、入団の可能性を聞かれ、硬い表情のまま「ゼロです」と言い切ったが、その後、日本ハムは前代未聞とも言える投打の“二刀流”育成プランを明示し、我慢強い説得で入団にこぎつけた。日本ハムはほか3位で鍵谷陽平(中大)を獲得している。

 最後の1人、東浜巨はDeNA、西武、ソフトバンクが競合し、ソフトバンクへ進んでいる。菅野は他球団の指名もなく、今度こその巨人入りを果たす。ドラフト会議の後、伯父である原辰徳監督は背番号19のユニフォームを持って駆け付け、カメラマンのリクエストで「普段、投手とはしないんだけどな」と言いつつ、グータッチをした。

広島2位に現在の四番


 ではチーム別に見ていこう。

 1位で白崎浩之、2位で三嶋一輝(法大)を獲得したDeNAは、3位で井納翔一(NTT東日本)、6位では宮崎敏郎(セガサミー)を獲得と大成功だった。

 藤浪を外した後、松永昂大も外しと、この年もクジ運がなかったオリックスは1位で左腕の松葉貴大(大体大)を獲得した。

 藤浪を取った阪神は2位でも甲子園のヒーロー・北條史也(光星学院高)を獲得。松永を1位で取ったロッテは北條のチームメートの田村龍弘捕手を3位、さらには4位には俊足外野手・加藤翔平(上武大)の名前もある。

 広島では、なんと言っても2位の鈴木誠也(二松学舎大付高)。高校時代は主に投手だったが、内野手としての指名。少年時代、テレビ番組『出没!アド街ック天国』に出ていたことも話題となった。

 森雄大を1位指名した楽天でも2位が光る。いまやエースに成長した則本昂大(三重中京大)だ。2位のブレーク組は1位で石山泰雅を獲得したヤクルトもそうだ。ライアンこと、小川泰弘(創価大)の名前がある。

 ソフトバンクは3位で東浜と同じ亜大の高田知希、6位ではヤクルト移籍にした山中浩史(Honda熊本)。育成3位には東京農業大学北海道オホーツク硬式野球部出身で、現在は阪神の飯田優也もいる。

 1位で福谷浩司を獲得した中日は、2位に濱田達郎(愛工大名電高)、4位に杉山翔大(早大)、7位には15年に10勝を挙げた若松駿太(祐誠高)もいる。

 1位で増田達至を獲得した西武は、3位で16年の盗塁王・金子侑司(立命大)、4位で高橋朋己(西濃運輸)、育成1位に水口大地(香川オリーブガイナーズ)。2位で指名された相内誠(千葉国際高)は、交通違反が発覚し、入団手続きが一時凍結。その後、あらためて入団した。

<次回に続く>

写真=BBM
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