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ドラフト会議物語

【ドラフト会議物語54】逸材・松井裕樹は楽天へ! 大瀬良大地は広島の田村恵スカウトが引き当て涙【2013年】

 

今年は10月25日に行われるドラフト会議。毎年、金の卵たちが、どの球団へ進むか大きな注目を集める“一大イベント”で、さまざまなドラマも生まれる。今年で54年目を迎えるドラフト会議の歴史を週刊ベースボールONLINEでは振り返っていく。

石川歩はロッテ、巨人の競合でロッテへ


「10年後には日本代表する投手になりたい」と抱負を語った松井


2013年10月24日
第49回ドラフト会議
(グランドプリンスホテル新高輪)

[1位選手]
日本ハム   渡邉諒  (東海大甲府高)  
ヤクルト   杉浦稔大 (国学院大)
オリックス  吉田一将 (JR東日本)
DeNA     柿田裕太 (日本生命)
ソフトバンク 加治屋蓮 (JR九州)
中日     鈴木翔太 (聖隷クリストファー高)  
ロッテ    石川歩  (東京ガス)
広島     大瀬良大地(九州共立大)
西武     森友哉  (大阪桐蔭高)
阪神     岩貞祐太 (横浜商大)
楽天     松井裕樹 (桐光学園高)
巨人     小林誠司 (日本生命)

 以前の回でも書いたが、このあたりに来ると獲得が成功かそうでないかが、まだ判断できない。例えば、石川歩をロッテと競合して外し、小林誠司を取った巨人。このどちらが、より成功だったかは、数年先の判断になるだろう。また、この年のウエーバー順は、例年の判断材料となるオールスターゲームが1勝1敗1分、得失点差もなかったことから、セ・パ両リーグ理事長による“あみだクジ”でパ・リーグが優先権を獲得した。

 このときの最大の目玉は松井裕樹だ。夏の甲子園で1試合22奪三振もマークした快速球左腕だ。日本ハム、DeNA、ソフトバンク、中日、楽天の5球団が競合し、楽天・立花陽三球団社長が前年の森雄大に続き、当たりクジを引き当てた。

広島・田村スカウトは当たりクジを引き当てガッツポーズ(右が阪神・和田監督、左がヤクルト・小川監督)


 続いての競合は、大学No.1右腕の大瀬良大地。阪神、ヤクルト、広島の競合となり、この抽選が今回の会議の1つのハイライトとなった。阪神・和田豊監督、ヤクルト・小川淳司監督とともに抽選箱の前に並んだのが、広島の田村恵スカウトだ。大瀬良を5年間見守り続けた担当スカウトであるが、担当スカウトが抽選に立つのは史上初。引き当てた後、インタビューに答える田村スカウトの目には光るものがあった。

 前述したが、巨人とロッテが競合したのが、社会人No.1右腕の石川歩。1年前のドラフト会議でも候補者として、ほかの東京ガスの選手とともに指名を待ったが、まさかの指名漏れ。そこから心機一転、実績を積み上げてつかんだ1位指名だった。巨人・原辰徳監督、ロッテ・伊東勤監督が抽選。伊東監督が当たりクジを引き当てガッツポーズしたときを、石川は「鳥肌が立ちました」と振り返った。1位ではほかに強打の捕手・森友哉が西武へ、阪神・能見篤史のフォームをマネして急成長した左腕・岩貞祐太がその阪神に進むことになった。

広島にはVの主力が


 球団別に行くと1位で渡邉諒を取った日本ハムは指名の8人がすべて一軍出場を果たし、3位に岡大海(明大)、4位には3年目の16年に新人王となった高梨裕稔(山梨学院大)らがいるが、まだ抜け出した選手はいない。

 杉浦稔大が1位のヤクルトでは3位にWBCにも出場した抑えの秋吉亮(パナソニック)がいる。吉田一将が1位のオリックスは2位に東明大貴(富士重工業)、3位に若月健矢(花咲徳栄高)がいる。

 1位で柿田裕太を取ったDeNAは3位に強打の捕手・嶺井博希(亜大)、4位に三上朋也(JX−ENEOS)、さらに育成1位に砂田毅樹(明桜高)の名前もある。

 加治屋蓮を松井、杉浦の外れ外れ1位で取ったソフトバンクは、2位で中継ぎの切り札・森唯斗(三菱自動車倉敷オーシャンズ)を獲得。さらに4位に上林誠知(仙台育英高)、育成1位の石川柊太(創価大)らがいる。

 鈴木翔太が1位の中日は、2位に又吉克樹(香川オリーブガイナーズ)、5位に祖父江大輔(トヨタ自動車)と貴重なブルペン陣を加えた。

 石川を取ったロッテは、3位で三木亮(上武大)、5位で重量級のボディで話題になった井上晴哉(日本生命)、さらに6位には先発として成長する二木康太(鹿児島情報高)の名前もある。

 大瀬良を取った広島は、またもいいドラフトをした。3位で斬り込み隊長・田中広輔(JR東日本)を獲得し、2位に九里亜蓮(亜大)、5位には中村祐太(関東一高)と3連覇に貢献した選手が並ぶ。

 森を1位で取った西武は、2位に今季大ブレークの山川穂高(富士大)、6位には岡田雅利(大阪ガス)もいる。岩貞が1位の阪神は2位に横田慎太郎(鹿児島実高)、3位に陽川尚将(東農大)、4位に梅野隆太郎(福岡大)、6位に岩崎優(国士舘大)。

 12球団最大9人を指名した楽天は、2位の内田靖人(常総学院高)が今季12本塁打をマークした。また、石川の外れで小林を獲得した巨人は3位で田口麗斗(広島新庄高)。ただ、5人の獲得のうち4位の奥村展征(日大山形高)がヤクルト、5位の平良拳太郎(北山高)がDeNAにと、いずれもFA選手の人的補償として移籍している。

<次回に続く>

写真=BBM
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