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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

大卒投手が次々と結果を残すDeNA、ドラ1上茶谷は果たして

 

井納翔一に続く、右の先発ローテとして期待される


 ドラフト会議では第1回1巡目の入札で小園海斗(報徳学園高)の獲得に動くも抽選で敗れ、結果的に第2回入札で東洋大の152キロ右腕・上茶谷大河との交渉権を獲得。これでDeNAは2014年の山崎康晃から5年連続で「大学生・投手」からの1位指名となった。

「大学生・投手」を偏重する理由は単純明快。結果を残しているからだ。入団後にクローザーに転向した山崎康を除けば、3投手がルーキーイヤーから先発ローテとしてチームの勝利に貢献。昨季の濱口と今季の東は、いきなり2ケタ勝利をマークする働きぶりだった。

■2014年1位/山崎康晃(亜大)1年目=58試合2勝4敗37S、防御率1.92
■2015年1位/今永昇太(駒大)1年目=22試合8勝9敗、防御率2.93
■2016年1位/濱口遥大(神奈川大)1年目=22試合10勝6敗、防御率3.57
■2017年1位/東 克樹(立命大)1年目=24試合11勝5敗、防御率2.45

 彼らがコンスタントに成績を残している要因はどこにあるのだろうか。まず前提として素材を見極めるスカウトの眼力が素晴らしいのは間違いない。と同時に、若手投手が持てる力を存分に発揮できる環境がそろっていることも、成功につながっているように感じられる。

 ルーキーは春季キャンプから一軍に組み込まれ、年齢の近い先輩からプロで投げるための手ほどきを受ける。14年ドラフト2位の石田健大(法大)から今永、濱口、東と続いた左腕の先輩・後輩の関係のなかで、プロでの心構えや、技術的なポイントが伝えられてきた。左右の違いはあるのせよ、彼らから上茶谷に伝えられるものがあるはずだ。チームが早い段階で一軍の実戦を積極的に経験させることも大きい。そのなかで反省し、自分のスキルアップにつなげてさせている。

 また、大卒1年目は愛車を持つことが許されていないので、新人は先輩の助手席に座り、寮から横浜スタジアムまで通うことが多い。これも新人には貴重な経験で、来季は東が上茶谷と行動を共にする機会があるかもしれない。

 若い投手陣をけん引しているのが石田と今永だ。ともに今季は不本意な成績に終わったが、両左腕が、態度と言葉で投手陣を盛り上げ、意識を高めている。こうした要素もあり、DeNAのドラ1投手はプロでしっかりと才能を伸ばしている。

 さて上茶谷はどうか。東都大学リーグでは4年生から頭角を現し春に初勝利を飾ると、春秋で計10勝(4敗)を挙げ、ポテンシャルは十分。10月26日に行われた指名挨拶で、ラミレス監督からドラ1右腕に「来季11勝を取れるように頑張って」と今季の東と同じ勝ち星数を期待する直筆メッセージが贈られている。優秀な先輩たちの背中を目標に、上茶谷がプロのトビラを開ける。

文=滝川和臣 写真=BBM
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