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原辰徳新監督体制移行はアピールのチャンス?

 

10月27日から巨人の新体制がスタート。原辰徳新監督は新たなコーチングスタッフと長い時間をかけて意見を交換していた


 3たび巨人を率いることになった原辰徳監督が読売ジャイアンツ球場に姿を見せると、その場の空気がピリッと引き締まった。

 10月27日、広島とのCSファイナルステージに敗れてから、約1週間のオフを経て再集合した巨人が、来季のV奪回に向けて秋季練習をスタート。練習前、選手、コーチ、スタッフ、フロントらで作られた大きな円の中心に立った“新指揮官”は、身振り手振りを加え、こう訓示を行っている。

「3たび、ジャイアンツ監督として戻って参りました。『また一発やってやるぞ』という気持ちでグラウンドに立っています。今日スタートしたチームが来年、最初に目指す港はセントラル・リーグ制覇。後に大きな港に向かってスタートすることになるので、チームみんなが理解してほしい」

 23日に行なわれた監督就任会見の席では、「のびのび野球」を宣言したが、もちろんそれが完全な自由を意味しないことは、前任時代の原監督とプレー経験のある選手たちが一番よく理解している。「中心、模範となって先頭を切ってほしい」と名前を挙げられた坂本勇人長野久義らも、引き締まった表情でこの日の練習に取り組んだ。

 3度目の指揮となる今回のチームでどのような野球を行うのか、まだ全容はつかめないが、早くも大きな変化を見せたのがコーチングスタッフの人選だ。今季の一軍スタッフで留任したのは吉村禎章打撃総合コーチただ1人(木村龍治投手兼トレーニングコーチはファームトレーニングコーチに配置換え)。ファームのコーチングスタッフ(来季より監督職以外、二、三軍の区別をつけない)を合わせて10人がプロでの指導者経験のない新任コーチというフレッシュな顔ぶれとなった。

 指導力という点では未知数だが、来季に関して原監督は「現有戦力を底上げして、彼らを徹底的に鍛え上げて戦う」と話しており、新たなコーチングスタッフが先入観を持たずフラットな目で今の戦力を見ることは、決してマイナスではないのではないか。実際、水野雄仁投手コーチ(復帰)や宮本和知投手総合コーチ(新任)らは、先発やリリーフのこれまでの配置を一度白紙に戻し、選手のモチベーションを含め、「最適なポジションを考える」としており、これまでは埋もれていた新たな力の発見や、再生などにも期待が持てる。

 選手たちにとっても新体制への移行は、自らの力を再アピールする大きなチャンス。10月31日から始まる秋季キャンプ、さらに短いオフを経て、来春、一軍がどのような陣容となるのか、注目したい。

文=坂本 匠 写真=BBM
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