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川口和久WEBコラム

継投に新時代! カルテット継投を試してみてよ/川口和久WEBコラム

 

現状の問題点を分析し、システム化したら……


ソフトバンク・武田の投球に大きな可能性を感じた


 2人はコンビ、3人はトリオ。で4人になると、音楽の四重奏「カルテット」という言葉を使うことが多い。
 今回のキーワードはこの「カルテット」。
 では、まず本文の前に四重奏で効果音を!

 ジャジャジャーン。

 う〜ん、弦楽器じゃなく、打楽器っぽいな。擬音は難しいね。

 試合が荒れると5人、6人とどんどん増え、際限がなくなる投手継投を最初から4人、カルテットに固めてみないかという提案さ。
 要は、「先発完投至上主義」から「カルテット時代」への転換提案だね。

 今年、規定投球回はセで8人、パで9人。ソフトバンクに至っては82勝もしながら規定投球回到達が誰もいない。それだけ継投野球が浸透しているということだろう。

 その中でソフトバンクはシーズンの終盤から武田翔大、石川柊太を「第2先発」の位置づけにし、勝ち続けた。日本シリーズでもはまったしね。

 日本球界ではWBCから言われ始めた言葉だと思うけど、80年代までは、日本シリーズの短期決戦や終盤の優勝争いで、若くて馬力のある先発をロングリリーフに回すことはそんなに珍しくなかった。
 ただ、最近はほとんどなかったし、あくまで緊急事態の処置という印象もあった。

 それが今年のソフトバンクを見ていたら、「これはレギュラーシーズンでも使えるんじゃないかな」と思ったんだ。
 それもソフトバンクみたいに選手があまっている球団じゃなく、むしろ足りないチームでね。

 ここ数年の球界は、単純に継投が定着しただけでなく、1試合を投げ切れる先発投手が少なくなり、結果的に救援投手の登板が過多になっていく傾向がある。

 解決するためには、6人きっちり完投能力がある投手をそろえればいいと思うかもしれないけど、よほど補強資金に余裕があるチーム以外は難しい。

 むしろ継投の考え方自体を変えてもいいんじゃないかな。
 というか、いま起きている状況を合理的に考え、システム化するというかね。

 要は先発の球数を80から100球に決めてしまい、第2先発を定番化してしまうんだ。

菅野には完投してもらえばいい


 実際、100球前後で先発がつかまるケースは多い。だからそれをどう解決して、もっと投げさせるかじゃなくて、最初からそれを基準しておけば、ピッチャーも思い切って飛ばせるし、当然、中4日でも回せる。イニングは4回か5回になるだろうけど、ひとまず先発4人いれば回せる形にはなる。

 第2先発は3回、60球かな。8回、9回のセットアッパー、クローザーの確立は絶対だけどね。これは元投手コーチとして譲れない。

 これで川口推奨の先発4回、第2先発3回、セットアッパー、クローザー1回ずつの「カルテット継投」の完成さ。

 そうなれば、先発をもっと軽く考えてもいい。よく4回くらいまでは抑えても、打者の目が慣れてくる5回くらいで崩れる投手がいるでしょ。これなら、そこで代えちゃえばいいんだから、あまった中継ぎでもいいし、若手にチャンスを与える場と考えてもいいくらいかもしれない。

 先発が最低5回を投げきりたいというのは、勝利投手というご褒美があるからだけど、いまはリリーフの給料が先発より上になることもあるし、球団の評価仕方次第で価値観は変わると思うよ。

 もちろん、巨人菅野智之みたいな完投大好き人間に「するな」とは言わん。「どうぞ、どうぞ、やってください」さ。週1で完投してもらい、残り5試合を新継投で戦えばいいから、それはそれで助かるしね。

 第2先発は球数こそ少ないけど、先発以上に信頼できる投手を置きたいな。中2日か3日になるだろうけど、勝ちパータンのみの起用にすれば、それほど登板数は増えないと思うよ。

 忘れてはいけないのは、負け試合をこれ以上壊さないロングリリーフ。要は、ビハインド専用の投手だね。これに関しては、この新継投うんぬんではなく、俺が投手コーチ時代に重要視していたことでもある。

 球威は多少不足しても、球種がたくさんあり、制球力があって低めに球を集め、四球で自滅が少ないタイプがいい。たまに一発浴びるくらいは許容範囲でね。
 負け覚悟じゃないよ。打たせて取るタイプになるから守備のリズムがよくなる。それが攻撃のリズムにもつながり、試合も逆転してくれるかもしれないでしょ。

 どうだろう、俺のカルテット継投プラン。先発不足、リリーフ陣の疲労蓄積、すべての問題を一気に解消できる気がするんだけどね。
 一度だまされたと思って、どこかのチームで俺に監督やらせてみないか。1年間試したらどうなるのかやってみたくなったんでね。

 就任の条件は「絶対優勝しなきゃダメ」と言わない優しい球団フロントとファンがいるチーム。こう見えて、実は小心者なんでね。

 選手、ベンチの首脳陣、サポートする球団関係者(フロントと裏方)、そしてファン。こちらも、きれいなカルテットが強いチームの秘訣かな。

 では、締めもジャジャジャーンで。

写真=BBM
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