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川口和久WEBコラム

佐々岡真司のカーブは、猫田の天井サーブだった?(前編)/川口和久WEBコラム

 

先発、リリーフで活躍したタフガイだった



 広島の一軍投手コーチに、佐々岡真司が就いた。

 2015年からカープの二軍の投手コーチになって4年か。俺は遅すぎたくらいだと思うよ。

 一緒に現役でもやったが、性格的にも指導者に向いてるなって思っていた。あいつは頭がすごく柔らかいんだ。体はムチャクチャ硬いけどね。

 でも、結果的には、いい勉強になったんじゃないかな。広島市から遠く、遠く離れた由宇球場に通い、水本勝己監督の下で、若手投手を手塩にかけて育て上げ、岡田明丈薮田和樹らが一軍に上がり立派に一本立ち……。まあ、したと思ったら、また戻ってきて歯がゆい思いもあったと思うが、佐々岡の育成手腕は、みんなが認めている。

 ただ、ここ何年か見ていると、上がって数試合はいい投球をしても、なかなか持続する選手がいない。広島は打線がいいから、多少は打ち込まれても野手が“勝たせてくれる”。楽に投げられる分、若手投手が一本立ちするには、いい環境だと思ったけど、どうなのかな。野手に助けてもらえるというのが、油断につながっていたのかもしれない。

 緒方孝市監督が佐々岡を一軍に上げたのも、そこかな。二軍でのノウハウを生かしつつ、自分が育てた選手たちを、しっかり一軍で先発し、勝ち切る選手にしてほしいということだろうね。

 二軍と一軍のコーチ、特に投手コーチの役割は違う。
 簡単に言ってしまえば、二軍は育てる、一軍は勝たせるがメーンテーマ。一軍では、選手の状態をしっかり観察し、技術的なアドバイスだけはなく、メンタル面のコントロールも重要になってくる。特に試合中の言葉のかけ方。まずは、いかにプレッシャーなく投げさせるかが大事ではあるけど、試合が佳境になってきたら「力を抜け」だけじゃなく、追い詰めて腹を決めさせなきゃいけないときもある。

 選手によってメンタルが強い、弱いもあるし、言葉のかけ方も違ってくる。難しいけど、これからは、そこが問われることになる。

 まあ、佐々岡なら大丈夫だろ。体は硬いが頭は柔らかいからね。

 現役時代の佐々岡は非常に馬力があるいい投手だった。先発も抑えもやって、91年のVイヤーは入団2年目だったけど、最多勝、最優秀防御率、沢村賞とMVPも取っている。

 一番すごかったのは独特のカーブ。なんて書けばいいのかな。重力に反して1回浮かび上がってから打者の前で真下に落ちるというか……。そう、まるで猫田の天井サーブだね。

 猫田の天井サーブについて、じゃなくて佐々岡のカーブについては、来週書きます。(続く)
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