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週刊ベースボール60周年記念企画

野村克也12年ぶりのホームラン/週べ1965年3月22日号

 

 今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

金田正一への脅迫状


表紙は左から阪神山内一弘巨人王貞治



 今回は『1965年3月22日号』。定価は50円だ。

 オープン戦の試合前ノックで爪を割ってリハビリ中の巨人・金田正一に、脅迫状が届いた。
 内容は
「2月8日午前10時に自宅前の路上に止めてある青色ミゼットの運転台に現金百万円を置いておけ。警察に届け出ると賢一君の命はないと思え」
 賢一君は金田の息子。のち俳優となった。
 この脅迫状は4回届いたのだが、最初の百万から次が50万、最後は15万まで減ったという。
 犯人は見つかっていないが、賢一君は誘拐されたわけでもなく、悪質ないたずらだったようだ。
 金田は
「脅迫にあうはケガはするわ、どうもついてないよ」
 とぼやいていた。

 南海の野村克也が阪神相手のオープン戦でホームランを打ったというのが話題になっていた。ロッテを引退した岡田幸文ではない。天下のホームラン王、野村の1本がなぜ話題になったかと言えば、実は、これがオープン戦12年ぶりのホームランだったことだ。
 このオフ、契約更改でもめにもめた野村。今年にかける思いが、久々の1本になったのかもしれない。
 
 その南海では、村上雅則の二重契約問題がさらに混迷を深めていた。
 南海とサンフランシスコ・ジャイアンツの橋渡し役をしたキャピー原田(原田恒男)が、南海のスタンカを名誉棄損で訴えると言い出したのだ。

 スタンカは南海球団の代表として渡米し、ジャイアンツのフィニー副会長と会談した際、「南海は原田氏に旅費として1万5000ドルと医療費1万8000ドルを支払ってる」と発言。
「旅費はそのくらいかもしれないが、医療費の1万8000ドルなど覚えがない。これは私の信用問題になります。実際、私は報酬すら一銭ももらっていない。南海との古い付き合いと鶴岡(一人)監督の友人としてやっていただけなんです」(原田)
 
 南海側の態度も硬化。そもそもジャイアンツとの間に交わされた契約書のサインがニセモノだと言い出した。サインは南海・岩瀬常務のものだが、
「こんなサインはしていない。僕の名前がツグノリなのにサインはツギノリとなっている」(岩瀬)
 実際に岩瀬常務のサインと契約書のサインを比較した写真も掲載されていたが、確かにまったく違う。

 もはや収拾がつかない感がある。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM


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