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【オリックス補強事情】貫く“過度な補強”に頼らぬチーム作り

 

オフは次のシーズンに向けて戦力整備をする重要な期間となる。ドラフト、FA、トレード、新外国人など方法をさまざまだが各球団、補強をどのような形で進めているのか。23年間、優勝から遠ざかり、4年連続Bクラスとなったオリックスの状況を見ていこう。

今オフ、目立った補強は新外国人のメネセスのみだ


 主力が続々と抜けた。FAで西勇輝阪神へ、大幅減俸で自ら自由契約を申し出た中島宏之巨人金子千尋(来季より弌大)が日本ハム入り。野手最年長でチームの精神的支柱だった小谷野栄一も現役を引退した。もともと若返りを進めてきたチームだが、その動きが急速に進んでいる。

 いずれも“計算”のメドが立った4選手だが、中でも頭を悩ませそうなのが先発投手だ。金子、西が抜け、先発ローテ2枠が空く。今季、金子が17試合で100投球回、西が同25試合で162.1投球回と埋めるべく穴は小さくはない。

 ただ、山本由伸が先発再転向を志願し、山本と同い年である20歳の榊原翼が今季最終盤で好投。こちらも20歳の長身右腕・山崎颯一郎もファームやウインター・リーグで腕を磨き、将来を嘱望されるなど、“素質”が光る投手は多数いる。それだけに、西の人的補償を残してはいるが、ドラフトを除いて目立った補強はない。

 打線低調が今季Bクラスの一因となった野手の補強も、西武FAの浅村栄斗の獲得にこそ失敗したものの、今季フィリーズ傘化の3Aでプレーし、本塁打と打点の“2冠”を獲得したジョーイ・メネセスを獲得したのみ。目立った補強はなく、ドラフト1位の天理高・太田椋は“将来性”に、2位の強打の捕手である亜大・頓宮裕真には三塁コンバートも視野に、“即戦力”の期待を寄せている。

 補強に頼らぬチーム作りは、過去の失敗から得た教訓だ。優勝を逃した2014年オフに、小谷野栄一(前日本ハム)、中島宏之(前アスレチックス・マイナー)、バリントン(前広島)、ブランコ(前DeNA)らを獲得し、総額約30億円の大補強を敢行。だが、15年は移籍組の不振や低迷で5位に。16年オフに、当時の西名弘明球団社長(現名誉会長)が「地道にイチから育てないと層は厚くならない。ケガはつきもの。ケガ人が出たときなどに、どれだけ層が厚いかが勝負を分ける」と話すなど、“生え抜き選手”の育成にシフト。低迷→補強→失敗を繰り返してきたオリックスが方針を変え、そして、主力流出が相次ぐ今オフも貫いている。

 投手では山岡泰輔、山本由伸、野手では吉田正尚が四番に定着するなど、近年のドラフトは“成功”と呼べるほど、芽を出している若手。主力流出も、過度な補強に頼らぬチーム作りは、来季以降を見据えた芯の通った“チームビジョン”と言える。


【主な新加入選手】
[投手]
荒西祐大(Honda熊本※ドラフト3位)
富山凌雅(トヨタ自動車※ドラフト4位)
左澤優(JX-ENEOS※ドラフト6位)

[内野手]
メネセス(フィリーズ3A)
太田椋(天理高※ドラフト1位)
頓宮裕真(亜大※ドラフト2位)
宜保翔(未来沖縄高※ドラフト5位)
中川圭太(東洋大※ドラフト7位)

写真=Getty Images
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