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2018シーズン総括

【2018ロッテ総括】新体制で新風吹き込むも、投打にぜい弱さを露呈

 

攻撃力 HITTING REVIEW


走塁改革の旗手となった中村らのブレークはあったが……


“走塁改革”を掲げた井口資仁新監督の狙いは当たった。チーム124盗塁はリーグ2位。何より走塁の積極性が増し、一つでも先の塁を狙う意識が浸透していった。

 筆頭格は中村奨吾。指揮官が「トリプルスリーを狙える」と評した才能が開花し、高打率を維持したまま盗塁王争いに絡むリーグ2位の39盗塁、同8位の82得点をマーク。眠れる大砲・井上晴哉も覚醒し、一番・荻野貴司、二番・藤岡裕大を含めた“走れる上位打線”が生み出したチャンスを得点圏打率.342の勝負強さで仕上げ、リーグ5位の99打点と、打線の核として四番の仕事を果たした。

 だが、開幕から不動の一番として攻撃の着火剤となっていた荻野が前半戦で故障離脱すると、徐々に打線は機能不全に陥っていく。故障で出遅れた角中勝也やチームリーダー・鈴木大地のバットが湿り続けたのも響いたが、課題の長打力不足がそのまま得点力不足に直結した。井上の24本塁打はあったが期待のドミンゲスは不発で、チーム本塁打は12球団最少の78。“足”だけでは何ともしがたい現実があった。

 一方、新人ながら全試合出場を果たした藤岡裕、外野で新境地を開いた平沢大河、シーズン終盤に一軍戦の空気に触れた安田尚憲など、確かな経験を積んだ若手の存在は来季への希望となっている。

投手力 PITCHING REVIEW


 シーズン序盤は新助っ人のボルシンガー石川歩が先発二本柱に君臨。前者はマリンの風を味方につけて11試合11連勝を飾るなど先発陣をけん引し、昨季3勝の後者は直球の威力を取り戻して完全復活。2人がカード1勝を着実にもたらし、エースの涌井秀章は調子の波がありながらもゲームを作った。リリーフ陣も抑えの内竜也、守護神につなぐ益田直也松永昂大南昌輝らが奮闘し、安定したゲーム運びを見せていた。

 しかし、あとに続く存在がいなかった。次期エース候補の二木康太酒居知史は開幕から出遅れ、5月に先発転向した有吉優樹がいなければ、早々と先発陣は崩壊していただろう。一方、ブルペンを増強するはずだったシェッパーズは不発で、シーズンが進むにつれて有吉の抜けたリリーフ陣には大きな負担がのしかかっていった。

 夏場を迎えて石川、ボルシンガー、涌井が相次いで離脱し、抑えの内をはじめとしたリリーフ陣が安定感を欠いていくと、投手陣全体の層の薄さが露呈。種市篤暉岩下大輝といった次代を担う右腕に経験を積ませることができたのは確かな収穫だったが……。

守備力 FIELDING REVIEW


 荻野、途中加入の岡大海、角中、清田育宏らで構成された外野守備は確かな安定感を誇り、コンバートされた平沢も持ち前の身体能力を生かして徐々にフィット。全試合出場の捕手・田村龍弘は盗塁阻止率.320と強肩はそのままにキャッチングの安定感が高まって、投手陣の信頼を確固たるものにした。

 今季からシャッフルされた内野陣では中村の二塁コンバートが成功し、ゴールデン・グラブ賞を獲得。新人・藤岡裕も及第点の遊撃守備を見せたが、唯一、誤算だったのは三塁転向の鈴木。10失策と安定感を欠き、試合終盤に守備固めを送られる場面もあった。

[2018年の主な達成記録]
▼通算2000安打=福浦和也、9月22日対西武(ZOZOマリン)、プロ野球52人目

▼1球勝利=松永昂大、7月10日対西武(メットライフ)、プロ野球41人、42度目

▼新人の開幕戦猛打賞=藤岡裕大、3月30日対楽天(ZOZOマリン)、二リーグ制後プロ野球10人目

写真=BBM
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